ここから本文です

解決済みの質問

知恵コレに追加する

『於母影』と『新体詩杪』の関係を教えてください。

hikisaki1988さん

『於母影』と『新体詩杪』の関係を教えてください。

違反報告

ベストアンサーに選ばれた回答

pirrip_pirrip_pirripさん

『新体詩抄』と『於母影』の関係を理解するためには,新体詩を知る必要があります。

明治になって従来からの漢詩ではなく,西洋の詩を五七調や七五調の文語定型に翻訳
した詩が新体詩で,明治15(1882)年に刊行の『新体詩抄』がその本格的なものです。
『新体詩抄』には翻訳だけではなく,そのような形式にもとづいた創作も含まれています。

明治22(1889)年の森鴎外らによる『於母影』では,十十、五五、七八、八六調など
の韻律を取り入れて,ゲーテ,ハイネ,バイロンなどの作品を,原作の雰囲気を損なう
ことなく表現豊かに翻訳しており,その後の日本浪漫(ロマン)主義の先駆となりました。

【参考】
新体詩 しんたいし
明治時代における文語定型詩を中心としたものをいう。それまで「詩」といえば漢詩を意味していたが,西洋のポエトリイに相当する文学を採り入れるにさいし,日本の旧来の詩歌とは違うものであることを示すため,「新体ノ詩」「新体詩」と称し,1882年(明治15)刊行の井上哲次郎・矢田部良吉・外山正一の『新体詩抄』に始まる。『新体詩抄』は訳詩14編に創作詩5編を加えて編集され,撰者たちが傾倒していたスペンサーの進化論哲学が背景となっているが,おおむね詩としての内的生命力を欠き,運動は中絶した。しかし,その果たした啓蒙的な役割は大きい。その後,訳詩集としては森鴎外が中心となった『於母影』(明治22刊)が芸術的に高い水準を示した。個人的には北村透谷,島崎藤村,土井晩翠,蒲原有明,薄田泣菫らによって発展,日本近代詩の源流を成した。
〔参考文献〕百田宗治編『日本現代詩研究』1950,河出書房
長谷川泉『新体詩の形成』講座日本現代詩史1・1973,右文書院
http://www.tabiken.com/history/doc/J/J219C100.HTM

『新体詩抄』
日本近代詩の初発地点は、西欧詩の翻訳を基にしたキリスト教賛美歌や、一時小学校教科書の代用ともなった福沢諭吉『世界国尽』、伊沢修二を中心に編まれていった小学唱歌等が源流となり、新体詩が形を整えていったと見るのが妥当であろう。
明治15年8月刊行された井上哲次郎(巽軒)・矢田部良吉(尚今)・外山正一(ゝ山)ら三人の東大教授による『新体詩抄』もそうした時代背景と関わる詩歌改良の試みと捉えられる。<夫レ明治ノ歌ハ、明治ノ歌ナルベシ、古歌ナルベカラズ、日本ノ詩ハ日本ノ詩ナルベシ、漢詩ナルベカラズ、是レ新体ノ詩ノ作ル所以ナリ>(巽軒)の序文や、凡例、詞書に<新体の詩>を目指す姿勢が窺える。ワーズワース,シェ-クスピア等、英詩中心の翻訳詩14篇,外山の「抜刀隊」他の創作詩5篇よりなるが,内容的には従来の日本の花鳥風月を越えて広く素材を取り入れようとし、形式も押韻やリフレイン等の親味も見せてはいるものの、殆ど七五調中心で、十分な成果を上げたとは言い難い。
しかし、文明の進歩にふさわしい内容をより平容な詩語によって表現しようとする新体詩生成の意欲は盛んであった。

『於母影』
明治15年刊行の『新体詩抄』以来、新体詩の試みが続いたが、中でも浪漫的格調の高さにおいて傑出していたのは、明治22年8月『国民之友』夏期付録として発売されたS.S.S.(新声社)による訳詩集『於母影』である。ゲーテ、ハイネ、バイロン、シェ-クスピア等、独詩12、英詩4、漢詩2、『平家物語』の一部、計19篇の訳者は、森鴎外とその妹小金井喜美子、落合直文、市村サン次郎、井上通泰の5人であった。七五.五七以外に十十、五五、七八、八六等の新たな韻律を採用、俗言を退け雅言を多用するという伝統的詩美に依拠し、訳しぶりも原作の意義や韻、字句に各々忠実に従うことによって意訳、韻訳、句訳、調訳と慎重に使い分け、原作の詩美を香り高く移し得たと言える。
訳者達が西洋の恋愛に触れ得たのはまさにこの訳業を通してであり、『文学界』を始めとする後続の浪漫主義詩人達に与えた影響は計り知れない。
http://www.kurashiki-oky.ed.jp/kyukin/sinntaisi.htm

質問した人からのコメント

  • ありがとうございます。
  • コメント日時:2008/1/24 23:20:17

グレード

この質問・回答は役に立ちましたか?
役に立った!

お役立ち度:お役立ち度 3点(5点満点中)3人が役に立つと評価しています。

Yahoo! JAPANは、回答に記載された内容の信ぴょう性、正確性を保証しておりません。

お客様自身の責任と判断で、ご利用ください。

話題のキーワード

[カテゴリ:文学、古典]

ただいまの回答者

01時38分現在

3007
人が回答!!

1時間以内に5,864件の回答が寄せられています。

>>回答ひろばに行く