葬祭ディレクターです。 ＞反物の準備などの手配は誰か率先して行ったのでしょうか？ 準備というか、経帷子は裏を付けない一重の着物であり、それに使った布は主に晒（サラシ）でした。手ぬぐいやふきんにも使っていた、ありふれた木綿の布です。 ＞生前に準備するしきたりもあったのでしょうか？ そういう地方もあったでしょうが、大抵は亡くなってから血縁の女性が集まって皆で用意しました。大勢で縫ったのは、死の忌みが一人に掛からないようにということです。これは葬儀によくある習俗で、一人に何かさせない必ず二人以上で行なわせるような風習は、どこの地域に行ってもありました。友引を嫌うように、とかく誰かに死の忌みが被る（要は死者が続く）ことを避けてきたのです。 ひと針づつ手縫いで行い、「留め縫い」や「返し縫い」はしません。また、最後に糸の終端を結ぶこともしませんでした。故人が安心してあの世に行けるように、この世に留まることが無いようにと留め縫いをせず、また、こっちに帰ってこないように返し縫いをしなかったのです。