戦後、可変ピッチプロペラの特許料支払いを住友金属がハミルトン社に申し出ると、ハミルトン社からの返事は「特許料は厳正に頂戴致します。請求額は差し引き1ドルです」だったとか。
戦後、可変ピッチプロペラの特許料支払いを住友金属がハミルトン社に申し出ると、ハミルトン社からの返事は「特許料は厳正に頂戴致します。請求額は差し引き1ドルです」だったとか。 http://katasumi-memo.seesaa.net/article/414158479.html よく日本機のプロペラは10年遅れていた、と言われますが、いったいどのように遅れていたのでございましょうか? また、日本機はスピナーついていて、米機はスピナー無しの機体が多いですが、その辺りも関係していたのでしょうか?
ありがとうございます! 1930年代前半、ハミルトン社が出した可変ピッチプロペラを、仮に「α型可変ピッチ機構」とし、その後のドイツVDM社のものを「β型可変ピッチ機構」、アメリカ カーチス社のものを「θ型可変ピッチ機構」として場合、各「α型」「β型」「θ型」でおのおのどのような差異があったのでございましょうか...m(_ _)m また、当時の日本機のプロペラは先が細くなった「カツオブシ型」が多い気がしますが、米機は幅広の「オール型」が多いような気がします。 長らく「オール型」のほうが効率的なのかな、と思っておりましたが、最近の風力発電の三枚羽を見ると、日本機の「カツオブシ型」のほうに,より形が近いような気がします。どうなのでしょうか・・・
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可変ピッチプロペラというのがどんなものかは分かりますか? プロペラには3枚とか4枚とか羽根がついていますよね。 プロペラが回転すると羽根が斜めについているので空気が後ろに掻き出されて飛行機は前に進むわけですね。 この羽根の斜めについている角度の事をピッチといいます。 つまり可変ピッチというのは羽根の角度が変えられるプロペラのことです。 これがなぜすごいのかというと、トランスミッションの代わりになるからなんです。 トランスミッションというのはたくさんの歯車を組み合わせて、エンジンの回転数とスクリューやタイヤの回転数の比率を変化させる機械です。 トランスミッションは鉄の塊だから重いんです。重さは飛行機の性能に直結します。可変ピッチプロペラはトランスミッションを積むよりもずっと軽い重量負担で同様の効果を発揮するものなのです。 エンジンの回転数とプロペラの回転数をトランスミッションで変更することなく、ピッチの角度を変えることでローギアとハイギアを切り替えているのと同じ効果が発揮できるんですね。 これによって、離陸性能・上昇性能・最高速度・燃費などが大幅に向上するのです。 零戦などに使われて有名な恒速プロペラというのはこの可変ピッチプロペラの代表選手で、エンジンの出力を変えると、プロペラの回転速度が上がるのではなくプロペラの角度が深くなったり浅くなったりしてその出力に最適なプロペラ角度に変わるというプロペラなんです。これをコンピューター制御もない時代に油圧制御で実現しているんですね。この制御している部品を調速機(ガバナー)というんですけど、これを自力で開発できる力があるかどうかというのがプロペラ技術の一つの指標なんです。 さて、1930年代前半にアメリカのハミルトン社がこの可変ピッチプロペラを商品として販売し、世界の航空業界を席巻します。 1930年代の後半には世界各国の航空・機械メーカーがライセンスを取得して自国生産を開始します。日本ではそれが住友だったわけです。 ドイツではユンカースが同様のライセンス取得しイタリアではフィアットがライセンス取得しました。 つまりこの時点ではこのハミルトンの可変ピッチプロペラというのは世界最高のプロペラのひとつであったわけです。 で、日本のプロペラ技術というのはこのハミルトンのライセンス品以上の可変ピッチプロペラを結局1945年の敗戦まで開発できなかったレベルなのです。 独自の可変機構を実用化することも出来ず、工作精度では大きくオリジナルに劣る。 ドイツではVDM社、アメリカではカーチス社などがハミルトンに劣らぬオリジナルの可変ピッチプロペラを作る事に成功していましたが、日本はそれができなかったんですね。 第二次世界大戦中、エンジンは高出力化し、航空機の高速化がどんどん進んでいるのですから、それに応じてピッチ変更幅をより広くしたり、プロペラデザインを変えてゆくなどの改良や新型の開発は必須なのに、飛行機が複葉からようやく単葉に変わり最高速度も300キロか400キロか・・という時代に『最新型』だったプロペラを10年間ただ真似て作る事しかできなかったのです。 10年以上前にアメリカで販売されたプロペラが日本では最新の戦闘機にまだ使われている・・・・まさに10年遅れているというわけです。 そんな旧式プロペラのライセンス料を支払うといっているんですから、驚いたでしょうね。 スピナーはプロペラのピッチ可変機の部分を守る部品ですから付いていたほうがプロペラ保護のためには良いと思いますけど、日本機がつけていた理由は主に空気抵抗を少しでも減らして速度を稼ぎたかったからです。 基本的にスピナーを付けるか付けないかはそれぞれをテストして付けて効果があれば付ける、あまり効果が見られなければ付けないという感じです。 日本機の場合はエンジン出力が物足りないので軽量化と空気抵抗の軽減には力を入れます。スピナーは空気抵抗は減るけど重量はかさむし、製造時もその分工程も増えるしで一概に付けた方がいいとは言い切れないんですけど、日本はその空気抵抗の軽減というメリットを最優先しているのです。 もちろん間接的にはプロペラ性能が低いという部分を補っている面もありますけどそれはあまり意識していないと思います。 アメリカの場合はエンジンの冷却効果や生産面での効率を重視しているのと、プロペラがらみで言えば、実はハミルトンプロペラはスピナー無しでも大丈夫なように出来ているので可変部保護用の小型スピナーすら付けないという選択が可能なんですね。
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質問者からのお礼コメント
(最近のミリカテは劣化が酷くて... コチラで良かったです) すばらしき名回答を頂き、ありがとうございました。
お礼日時:2018/1/21 10:25