SLが曲がれた理由がわかりません。
SLが曲がれた理由がわかりません。 近所に昔実際に使われていたSLが展示されているのですが、車輪は進行方向の左右に完全に固定されていて、3軸だか4軸だかが並んでいます。 ボギー台車のような、カーブを走るために車輪が動くような仕組みは見られません。 相当広くスラックを取らないとSLは曲がれないと思います。 しかし、そうなると当時「マッチ箱」と形容された2軸客車は脱線すると思います。 当時は当時なりに、何か工夫があったのでしょうか? よろしくお願いいたします。
ベストアンサー
まず、ご質問者殿の知的好奇心の旺盛さに賛辞を表したく思います。 さて、現下数多く用いられているボギー車ですが、この2軸ボギーの固定軸距(軸間距離)の標準値は2,100mmです。 それに対し、SLはC形などは1,750mm径動輪3軸、D形では1,400mm径動輪4軸ですから、固定軸距は最大の許容数値で実に4,600mmにもなります。 また、この固定軸距をオーバーしたE10というSLも存在しましたが、それゆえ第3動輪はフランジレスとしていたのです。 なお、国鉄の2軸車にあっても、車両の標準的な長さは8mで、それゆえ固定軸距は4,000mm程度もっていて、実はSLと大差ありませんでした。 それと、鉄道車両の車輪の踏面形状は添付画像のようなものです。 鉄道趣味者の皆さんは軌間1067mmという認識がお強いようですが、実際のレール頭頂部にはRがあって、その寸法は5mmを基準としていますから、実際にレールと車輪踏面が触れる実質的軌間は1077mmとなります。 また車輪径その他の基準値は車軸中心から560mmであるので、実質的な「線路の幅」は、実は1,120mmと言えます。 そのため、レール内軌と車輪のフランジ外面とは基本的に10mm程度の余裕が存在するのです。 それでも車両が左右にフレずに進むのは添付画像のように踏面が円弧または円錐の形状をしていて、しかも左右の車輪が同一の軸であるということに由来する、向心性がもたらすものなのです。 宜しければ以下のBAもお読み下さい。 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12232826707 そして、その10mm程度の余裕があったとしても、急曲線ではそれでけでは足りませんからご存知の通りスラックを設けるのですが、その数値は殆どの線区でも19mm以下、最小半径(普通鉄道)のR160でも30mmですから、この軌間の拡大で車輪が落ちることはありません。(元車両技術職) ==============【余談】=================== 横浜や神戸などに多かった臨港支線では、貨物線であるにも関わらずSL最末期でも8620形やC58形などのC形SLが用いられていました。 これは地形が平坦であることと急カーブが多いためで、やはりR160などの最急曲線がある場所では、固定軸距が小さめなC形機が好まれていたということです。 しかし、いずれにせよ狭軌(1067mm)のSLは最急曲線はR160、そしてスラックはだいたいが19mm以下、最大値でも30mmなんで、125mmある車輪が落ちることはあり得ません。 それと、昔の客車が「マッチ箱」と呼ばれていたのは無学非常識な執筆者が多い鉄道趣味界に蔓延るガセのひとつです。 客車を「マッチ箱」と揶揄したのは夏目漱石ですが、それは当時は軽便鉄道であった伊予鉄道の車両を指して小説「坊ちゃん」で著したのが最初です。 つまり官設鉄道や山陽鉄道(ともに国鉄となり、現JR)の車両と比べて小さい汽車だったので「マッチ箱」。 というわけですから、国鉄系列の客車はマッチ箱ではありません。
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質問者からのお礼コメント
画像は小さいのでよく見えなかったのですが、文章から大体想像がつきました。 基本的な「曲がる仕組み」は「ピタゴラスイッチ」で把握していましたが、フランジを設けないという方向もあったんですね。 勉強になりました。 他の皆様もありがとうございました。
お礼日時:2020/11/29 23:56