ID非公開
ID非公開さん
2020/11/19 21:31
3回答
中3が蟹工船を読むのっておすすめしますか?またあらすじ教えていただけると嬉しいです!
中3が蟹工船を読むのっておすすめしますか?またあらすじ教えていただけると嬉しいです!
小説・108閲覧
ベストアンサー
中3にとって読み易くて面白いかというとどうかなと思います。 読もうと思うけどどうかな? と聞かれれば、読みましょうと答えます。文庫本で120ページぐらいですので、案外とすぐに読めます。 あらすじというか予備知識を説明しましょう。 時代は大正15年頃。場所は、北海道のさらに北の樺太とカムチャッカ周辺の北海です。時期はカニ漁が始まる春先から数カ月です。 当時日本の輸出品は繊維製品についで北海の水産物加工品が多かったのです。貴重な外貨獲得手段であり北海漁業は国家事業的な意味がありました。物語でも語られるのですが、会社側が非常に強いのは国策企業として国家の後ろ盾があるからです。 蟹工船というのは北海カニ漁専門の大型船の船種名で、蟹を捕獲し大型船の中に蟹を加工し缶詰めにする設備を併せ持つ船です。大正時代に開発され昭和になってもしばらくはカニ漁の主役として用いられています。なぜかというと、船は数カ月に渡り漁をするのですが、当時の船は冷凍保存技術がありませんので捕獲した蟹は速やかに缶詰め加工する必要があるからです。 物語では、ぼろ船であることばかりが強調されるのでピンとこないのですが一般的な蟹工船は全長100メートルぐらいのレシプロエンジンを持った大型船で乗組員は300~400名にもなります。そしてこの母船の両舷に救命ボートみたいな形で十数メートルの小型船を数隻吊るしています(物語の船は8隻)。漁場に到着すると川崎船と呼ばれるこれらの船が海上に降ろされ網を使ってタラバガニ等の漁を行います。 捕られた蟹は、母船に運ばれ生きたまま足を毟り茹でられ殻をむいて缶詰めに加工されるのですがこのあたりの描写は物語中ではほとんど分かりません。 ちょっと繰り返すと、蟹工船の労働者は大きく分けて、母船の運転水夫、川崎船で漁をする漁夫と捕った蟹を加工する作業者たちの3グループになります。 実際に漁をしたり蟹を茹でたり缶詰めに詰めたりする描写がないので、読んでいても理解しにくいのですがこれらの事は頭に入れておきましょう。 物語は、蟹工船の劣悪で危険な労働環境に苦しめられる労働者達の実態と、彼らを人間とも思わずに酷使し搾取する会社側の監督者に対する怒りと戦いを描いて社会の病巣を浮き彫りにしています。 ここで読んでいて思えるのは、物語はほとんど蟹加工・缶詰め製造の労働者たちを中心に進むのですが、こんなものすごく不衛生な環境で食品加工ができるのだろうか? という疑問はずっと引きずりました。作業内容がほとんど描写されないのでこの人たちは何をやっているのだろうとも思います。 それはいいとして、労働者たちはほとんど奴隷のような扱いを受けます。「アンクルトムの小屋」の奴隷よりもひどい扱いです。いくらなんでも20世紀の日本でここまでやったら犯罪だろうと思うのですが、これは実際にあった事件に基づいた話なのです。 作中でも述べられますが、当時の北海道は開拓地であり、植民地の朝鮮に対する待遇に近いものがあったのでしょう。 ということで、あらすじは以上ですのであとは読んでみてください。 途中で意味が分からなくなったり、状況が思い浮かばなくても構いませんのでとりあえず読んで下さい。 小説で読んだうえでですが、以下のサイトで漫画で読めます。これを読めば物語の内容は把握できます(しかし折角ですから先に本で読んで下さい)。 <小林多喜二ライブラリ> http://www.takiji-library.jp/announce/2007/20070927.html このライブラリをいろいろ読むとまた見えてくるところもあると思いますが、 蟹工船とモデルになった虐待事件に関しては以下の論文が詳しいです。 興味があったら読んでみてください。 <蟹工船および漁夫雑役夫虐待事件> https://core.ac.uk/download/pdf/59176777.pdf
質問者からのお礼コメント
詳しくありがとうございました!
お礼日時:2020/11/24 21:45