あまり正確な情報を含んだご質問ではないのでコメントします。 大学院は二つの課程があります。前期２年の課程と後期３年の 課程です。俗に言う，修士課程と博士課程です。まず，多くの 国立大工学部の学部学生はほとんどが修士課程に進学します。 学部定員が50名で修士定員が40名だったとき，その学部から 40名弱が修士に合格し，他大学工学部や同大学の他学部から 若干名が修士に合格します。地方私立大工学部では，そこま での充足率は無いから， https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2017/07/24/1386653_05.pdf にもあるように，大学入学者62万人のうち6.5万人が修士に 進学するという統計になるのでしょう。 では，修士は研究をする場か？ いいえ，学部と同じ，学ぶ 場です。確かに修士研修は学部４年生の卒業研修よりは高度な 研究を補佐しますが，それでもテーマは教員が提示したもので あったり，アプローチも修士学生独自のものではなく，他者が 行わない工夫や面倒な部分で学生の貢献を期待して，研究スタッ フの一員となってもらうわけですが，学生であることには 間違いなく，講義も５科目くらいは履修することが必須です。 ですから，研究をしたいから修士に進学するというのは必ず しも正しくない。 博士課程に進学するのは，旧帝大工学部修士の修了生でも ほんの一握りです。5年に二人いればいいほうでしょう。 上記文科省の統計では6.5万人のうち1万人になってますが， どういう統計なのか，現場を観察する限りは理解不能です。 40名の修士のうち博士課程に進学するのは0.5名くらい。 他大学から1名くらい（社会人は除く）ですからねぇ。 その博士課程は，今度は研究に重心が移ります。履修する 科目は３科目も無いくらいです（ここが米国のPhDコース と違う点の一つ）。 しかし，博士課程修了者を民間企業は採用しない傾向が あります。あまりにも，狭い専門だけに特化しているため， 現場で使えないという判断です。 これに対し，企業は学部卒（上の例だと50名中10名）と， 修士修了者40名とを，あまり区別せずに本人の意欲と人間 性で判断して採否を決めます。修士だから有利ということは ありませんし，大学推薦というのもありません。今朝の新聞 でも，トヨタがようやく気付いたらしく，技術職も大学推薦 をやめるそうです。それが当然ですからね。 しかも修士修了者も学部卒も総合職の技術職で採用されるの が大半で，研究職なんて，ごくごく一握りです。ま，僕が 勤めていた大学の卒業生で，新卒で研究職に就いたのは， 30年間で５名もいないと思います。 ということで，修士進学するインセンティブは・・・ 勉強したいってことですね。嘘みたいですけど。