法律に詳しい方に質問です。
法律に詳しい方に質問です。 大学の講義で、「バンクシーの行なっている行為(落書き)が処罰されない理由を法律的な面で考えよ。」 という課題が出されたのですが、自分で考えても全く思いつきません。 確かに一般人が行えば落書きとして処罰されるはずですが、なぜバンクシーは処罰されないのでしょうか? 自分では「落書きされた側が不快感を感じていないので黙認されている」みたいな曖昧な考えしか思いつきません。 もし詳しい法律で説明出来る方がいましたら答えていただけると嬉しいです。
法律相談・8閲覧・50
ベストアンサー
まず、バンクシーから一旦離れて、建造物や他人の所有物等に落書きをする行為についてどのような罪が成立するか考えてみましょう。 建造物に落書きをする場合、建造物等損壊罪(刑260)が成立する可能性があります。また、建造物以外(文書を除く。文書については文書等毀損罪)であれば、器物損壊罪(刑261)が成立します。この「損壊」とは、物理的に壊すことだけでなく、「その建造物の効用を減損させる、すなわち価値を低下させる行為全般」を指すと思ってください。他には軽犯罪法1条列挙事由に該当する可能性も充分ありますね。 さて、前述の通り「損壊」とは「物の価値を減損させる行為を指す」を言いますが、逆に価値を増大させる行為についてはどうでしょう。価値を増加させることをも「損壊」に含むと考えるのは、法律的に考えるまでもなく常識的におかしいとわかるのではないでしょうか。損壊の辞書的定義から見た文理解釈としても、法規全体の整合性を考慮する論理解釈としても、価値を増大させる行為は「損壊」に含めないとするのが妥当です。このように考えれば、製作者がバンクシーではない無名の一般人であったとしても、それが価値を増大していると認められる限り、処罰されません。ここでは、「落書きをする」ということに対する倫理的な問題や、「誰が描くか」ということは全く問題にはなりません。罪刑法定主義から、「損壊」の解釈が「価値を低減させる一切の行為」と定義されている以上、それに該当しなければ処罰されないのは当然です。 そして、これまでバンクシーの作品の中で一つでも、彼によって描かれたことによって価値が低下した建造物なり作品なりが一つでもあったでしょうか?彼は世界的に有名なアーティストとして、高い評価を受けています。その彼が描いたわけですから、その建造物や他人の所有物の価値は低下するどころか、幾何級数的に増大するのは明白です。そして価値が増加している以上、それは「損壊」とは言えず、処罰の対象とはならない、ということになります。
質問者からのお礼コメント
とても納得出来ました。ありがとうございます。
お礼日時:2020/11/25 2:42