ユダヤ教やキリスト教における神(エローヒム)の定義は、
「神(エローヒム)」という言葉がユダヤ教やキリスト教の中で
どのように使われているかということになります。
ヒンズー教や仏教における神(デヴァ)の定義は、
ヒンズー教や仏教の中で「神(デヴァ)」という言葉が
いかに使われているかということになります。
日本の神道における神(カミ)の定義は、
神道において「神(カミ)」という言葉が
どのように使われているかということになります。
色々な宗教の中かにおける神という言葉は
それぞれ甚だしく異ったものを指しているために、
神の定義はそれぞれの宗教の中でのみ意味を持つと思います。
したがって普遍的な神の定義はありません。
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神が居るという断定も
神が居ないという断定も
「認識の届かない事柄に関する根拠のない確信」です。
まず、人間は、存在しているものの全体を観察領域内に納めていない
ですから、「神はどこにも存在しない」ということは
観察からだけでは言えません。
人間のいかなる観察も、そこから、神が存在しないことを
論理的に導きだすことのできるようなものはありません。
「神はいない」という確信は、観察できず、
しかも、いかなる観察からも論理的に導出できない事柄に関する、
根拠のない確信です。
科学的主張は、根拠のない信仰と違って、
常に何らかの観察を根拠にしたものです。
或るもの(something)が存在しないことを、
観察できるデータから論理的に導出できるのは、
観察できる領域内(domain)に限って
(「月に生物はいない」「その図書館にあの本はない」
「この冷蔵庫にビールはない」)であって、
人間の観察できる領域を超越して存在している、
という定義を持つ神が存在しないことを、
観察データから論理的に導出することはできません。