時代劇で刀で人を斬った後ですぐ鞘に納めるというシーンは、本当はなかった?
時代劇で刀で人を斬った後ですぐ鞘に納めるというシーンは、本当はなかった? 時代劇などで、人を斬った後に抜き身をすぐ鞘にパチンと納める、というシーンをよく見ましたが、あれは現実にあったことでしょうか? と言うのも以前何かで読んだのですが、刀で人を斬ると血糊や脂肪が刀の刃にこびりつき、振ったくらいでは落ちなかったのだそうです。特に脂肪は始末が悪く、かなり手をかけてもなかなか落ちなかったとか。 となると、人を斬った刀をすぐ血糊や脂肪が付着したまま鞘に納めたら、それらが鞘の中で刀から移り、凝固して糊のようになって刀を抜こうとした時に抜けなくなってしまうのではないか、と思えるのです。(刀と鞘の間に十分な隙間があったとしても、刀の先端とか鍔の部分は接触するでしょうし) 江戸の太平の世では武士が刀を抜くことなどめったになかったと聞きますが、それでも実際に斬ったらこういうことが起こったはずです。 また戦国時代では刀を使った白兵戦が多かったはずですが、この時も戦闘が終わったら鞘に納める前に丁寧に刀の後始末をした…のでしょうか? それとも、そんなことは面倒と最初から鞘などに納めず抜き身のまま合戦場に赴いたのでしょうか?(取り扱い上かなり危険だったろうと思いますが)
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ベストアンサー
その疑問の通りで、そんなことしていたら鞘の中で刀が錆びて抜けなくなります。人体の血は放置すればすぐその成分により鉄などを錆びさせます。時代劇は99%嘘です。あくまで娯楽ですからね。ワンピースでホンモノの海賊を想像するくらいの話で、考証する対象ではないでしょう。 戦闘においても、刀は今でいうピストル、それも1発しか入っていないピストルのような存在で、実戦で使うことは滅多にありません。あったとしても最終手段で、戦国時代は槍か弓または銃で、それ以前は弓が主でした。飛び道具による死傷が9割で、残りの1割もほとんどは槍と言われています。 江戸時代になると刀はほとんどファッションであり、戦闘はご存知の通りほぼ起きることはありませんでした。少なくとも名刀と言われる刀で、人を切った形跡があるものは、曰くつきになって今もその話が残っているほどです。つまり数えるほども無いです。むしろ試し切りで人体(囚人の死体)を切ったほうが確実に多いでしょう。 仮に人を切った場合、刀は2~3人切ると刃こぼれして戦闘力を失います。その場で整備しないと、次はもうほとんど使い物になりません。つまり使い捨てですね。相手が鎧ならなおさら、槍や弓を使うべきでしょう。 でも江戸時代では刀は武士の証でもあり、身分上武士でも日常で佩刀(刀を身に着けること)をしないとそれはもう武士ではありません。 そしてちゃんといつでも切れるように、お手入れグッズも常備していました。すなわち、布、懐紙、鹿皮です。鹿皮はいわゆる「えた」などがカワハギして生産していたりします。えたのことを(皮●)というのもこのためです。 ちなみに布は倒した相手の服を使用すればいいので別に用意する必要はないですが、紙と皮は必須です。 まず相手を切ったら血肉がこべりついているので、布で血を拭き、更に懐紙でしっかりふき取り細かい血肉を拭きとります。最後に鹿の皮で磨くようにして丁寧に拭き取ります。そうしてようやく鞘に収めますが、戦闘が激しかったりすると、刀が反り返ってしまって入らないとか(そもそも刀が折れることもしばしば)あります。日本刀は軟鋼を組み合わせてあるので、反り返ってしまいますが、衝撃によりさらに曲がってしまうことがあります。反りが合わない、状態になります。それを直したり時間を待つことで元に戻って元の鞘に収まることがあります。反りの合わなささは時間が解決してくれるのですね。 しかしこれは切った直後の話で、確実に刃こぼれしているので、人を切った刀は業者に出して刃こぼれを修復してもらわねばなりません。場合によっては鞘を新調しないとならないでしょう。 こうして、人を切った刀を元に戻すには、まず初動からしっかりと、その後も丁寧に対応しないとなりません。人を刀で切ることは、ただ人をドスで刺し殺したりするのと違って、それ相応の大きな意味があったわけです。
質問者からのお礼コメント
皆さん回答有難うございました。知らないことが多かったので、大変勉強になりました。特に刀の刃こぼれに関しては、そんなに簡単に起こるものとは知らなかったので驚きました。BAはいろいろな観点から丁寧な回答をくださったりすたりすさんもお贈りします。皆さんに重ねてお礼申し上げます。
お礼日時:2/28 22:13