昭和11年公開の藤山一郎さん主演の『東京ラプソディ』は藤山さん自身が歌唱する主題歌「東京ラプソディ」も大ヒットしました。
同時期(昭和初期、戦前)の映画で、私が鑑賞してみて面白いと思ったのは、
『東京の合唱』
『有りがたうさん』
『淑女は何を忘れたか』
『非常線の女』
『東京の宿』
『東京の女』
『戸田家の兄弟』
『落第はしたけれど』
『按摩と女』
『大人の見る繪本 生まれてはみたけれど』
『何が彼女をそうさせたか』
『出來ごゝろ』
『淑女と髯』
『元氣で行かうよ』
『みかへりの塔』
『父ありき』
『一人息子』
『靑春の夢いまいづこ』
『その夜の妻』
『母を恋はずや』
等です。何れも比較的有名な作品です。娯楽作ですし、現代の感覚で観ても結構楽しめます。戦前の東京のモダンな感じも格好良いです。『非常線の女』の時の田中絹代さん、可愛いです。
又、戦時中に作られた戦争映画、プロパガンダ映画等にも有名な作品は幾つもあります。
私としてお薦めなのは、
『上海陸戦隊』
『ハワイ・マレー沖海戦』
『土と兵隊』
『雷撃隊出動』
『加藤隼戦闘隊』
『陸軍』
『一番美しく』
等です。『上海陸戦隊』、『ハワイ・マレー沖海戦』には戦後の小津映画でお馴染みな原節子さんが出演されています。又、『雷撃隊出動』、『加藤隼戦闘隊』は黒澤明監督作品で有名な藤田進さんが主演されています。そして『一番美しく』は黒澤明監督作です。黒澤監督、藤田進主演で戦中に制作された『姿三四郎』、『續 姿三四郎』も当時はヒットしたそうです。個人的にはあまり面白いとは思いませんでしたが。
木下惠介監督の『陸軍』は名作ですよ。プロパガンダ映画なんですが、私はこの作品こそ史上最高の反戦映画だと思ってます。そして何と言っても、主演は田中絹代さんです!
同時期の海外映画でお薦めは、
『モロッコ』
『嘆きの天使』
『會議は踊る』
『驛馬車』
『スミス都へ行く』
『望郷』
『大いなる幻影』
等があります。『會議は踊る』の主題歌「唯一度だけ」は当時の日本で大ヒットしました。戦後に作られた『キネマの天地』やジブリ映画『風立ちぬ』等、当時を描いた映画にも登場します。
思想は別にして、ナチスドイツが製作したプロパガンダ映画も、芸術性の高さでは評価されています。女性監督、レニ・リーフェンシュタールの『意志の勝利』、『オリンピア』(民族の祭典、美の祭典)等が白眉です。『オリンピア』はベルリンオリンピックの記録映画で、前回大会、ロサンゼルス大会で馬術競技で金メダルを獲得した西竹一男爵本人も出ています。西男爵はその後、第二次世界大戦の硫黄島の戦いで戦死されるのですが、その時の様子はクリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』で描かれています。
名作『風と共に去りぬ』も昭和14年の映画なのですが、日本での公開は戦後となっています。当然、『カサブランカ』や『誰が為に鐘は鳴る』といった連合国側の戦中製作映画も日本公開は戦後です。
戦中期の海外映画の私の中での最高傑作は、フランス映画の『天井桟敷の人々』です!