『二都物語』でお勧めの翻訳はありますか?
『二都物語』でお勧めの翻訳はありますか? ぼくは『二都物語』を図書館で借りた黒っぽいカバーの新潮文庫で読んでいます。面白いので買ってもいいかな、と思ったのでこの質問を投稿しました。
ベストアンサー
焦げ茶色に、城館も見える中世ヨーロッパの風景画のカバーだったら中野好夫さん訳(上下分冊)ですね。古い訳です。 新潮文庫の新しい訳「スタークラシックス名作新訳コレクション」平成26年版でお読みでしたら表紙がニ都物語初版の挿絵のもので加賀山卓朗さん訳です。 どちらも持ってます。特に新訳は帯に「全世界で2億部突破の大ロングセラー」とはなばなしく謳ってます。 加賀山さんの解説によると他に佐々木直次郎氏、本多顕彰氏の訳が存在するそうです。また光文社からは2016年に池央耿氏で出ています。 私は新潮文庫の新旧しか持ってませんが、選ぶときの基準はラストのシドニーの“天に向かって祈るような“言葉です。少し紹介しますので参考になれば幸いです。 (中野訳)「今僕のしようとしている行動は、今まで僕のした何よりも、はるかに立派な行動であるはず。そしてやがて僕のかち得る思いこそは、これまで僕の知るいかなる憩いよりも、はるかに美しいものであるはずだ」 (加賀山訳)「いましていることは、いままでにしたどんなことより、はるかにいいことだ。これから行くところは、いままでに知っているとんなところより、はるかにすばらしい安らぎの地だ」 原文(持っているだけで読めず):It is a far, far better thing that I do, than I have ever done; it is a far, far better rest that I go to than I have ever known. 加賀山さんは、シドニーの放蕩無頼ぶりを的確に表してか『おれ』という人称、中野さんは『僕』です。 また断頭台で執行を待つシドニーと、やはり処刑を待つお針子の娘が互いの魂を祝福するシーン: 中野訳「彼女は彼の唇に接吻する。彼も女の唇に接吻を与える。じっと運命に堪えるその顔には、ただ晴れ晴れとした美しい心の安定が輝いているだけだった」 加賀山訳「針子は彼の唇にキスする。カートンも彼女にキスを返す。辛抱強い顔にはやさしく明るい強さしか表れていない。」 全編を通して繰り返される象徴的な聖書の言葉は、両名とも「我は復活(よみがえり)なり、命なり」です。 現在形が多用され、描写が迫真に迫ります。チャールズの命を救うため、シドニーがバーサッドと監獄で駆け引きするシーンなど、死のまぎわの緊迫感があります。 最近なにかの質問に回答したおり、「ニ都物語」をすすめたばかりです。 知恵袋でまず見かけないので、なぜ読まれてないのだろう?と残念に思ってました。 歴史あり、パリ=ロンドンを架ける活劇あり、犠牲と献身あり、裏切者やスパイありで、映画やミュージカルにもなってます。是非おすすめします。 画像はずいぶん前に舞台写真で知りました。テレビでも放送されたのを覚えています。その時のシドニーのラストワードは「今ぼくのしようとしていることは、これまでしたどんなことよりもはるかに素晴らしいことだ。自分で考え、自分で決めた。なんだか、泣きたいくらいだ。だが、泣くのはよそう。羽ばたいて行こう」と言う感じでした。(そのあと音楽と断頭台の刃の音で幕) カートンは流行の白いコートを着ているはずが、写真の宝塚の大地真央さんは黒い服装です。(ルーシー役は黒木瞳さん)
質問者からのお礼コメント
ありがとうございました。
お礼日時:2021/5/12 21:06