音楽番組でドラムを囲っている、あの透明の壁。
あれは、通称アクリル板と呼ばれる、遮音板(音を遮る板)です。
楽器というのは、各楽器の持っている絶対的な音量の差があるんです。
同じ生楽器でも、ドラムの音は、
ボーカルやピアノやバイオリンといった楽器に比べて圧倒的に大きいんです。
ですから、ドラムと一緒に「せーの」で音を出すと
そのドラムの音がボーカルやピアノの音に勝ってしまい、
ボーカルやピアノのマイクにも混ざってしまうんです。
我々はこれを「かぶり」といいます。
これって厄介で、ボーカルの音量を上げようとすると、
かぶったドラムの音量まで上がってしまう。
つまり、いいバランスがとれなくなってしまうんです。
それを回避するために遮音板をついたてのように立てて、
ドラムの音が前に飛んでこないようにするわけです。
アクリルを使って透明なのは、
ドラマーがドラムを叩いている姿を見せるためです。
中が見えなかったら、映像的に謎ですもんね。
ちなみに、レコーディングスタジオなどでは、
アクリルではなく、木材に吸音の生地を張った遮音版が立てられます。