22世紀・病院がなくなる日 良心派医師の見た夢 岡本裕著
多くの人に読んで欲しい本です。友人に紹介され、出会った本ですが、じつに内容が深いです。現役の医師が書いた本のため、現状の問題点が丁寧に挙げられ、それをどうすれば良いのかが、大変わかりやすく書かれています。2020年に生きる超エリート医師が100年後にタイムスリップし、病気の9割以上は自分で治すのが常識の時代を見学するという、小説になっています。主人公の35歳の医師と、22世紀に生きる人との会話のやりとりが、まるでマンガを見ているかのように、見事な手法で展開が進み、大事な問題が具体的に語られています。上から目線でもなく、攻撃的でもなく、淡々と理想の医療を提供する日本のあり方を描いているところに共感します。「22世紀の医師になるための条件は、看護師や介護福祉士になり、現場で2年以上働いてから・・・」という設定になっています。
高校や大学を卒業して、看護科や介護福祉科のある学校で2年間医療や福祉を学び、2年の現場経験をし、一緒に働いていた医師、看護師、介護福祉士、患者やお年寄りたちからなる専門委員より推薦を得て、はじめて医学部の受験資格が持てる、ということになっています。『医者に本当にむく』人だけを選びだす仕組みが現実になったら、どんなに国民全体の免疫力がアップするでしょう。阪神淡路大震災に遭遇し、その直後から医療ボランティアの関わった著者であることをあとがきで知りました。本音で語られている本です。この本で語られている22世紀の医療システムが一日でも早く実現されることを渇望します。