他人の言うことなど気にせずに、自分が知的に充実した学生生活を送れればいいじゃないですか。 確かにいろいろなことに興味を示して学んだり活動している人は少ないですが、ボンゴをやっていたファインマンとか、バガヴァッドギーターを引用したオッペンハイマーのような人は、エリートの多い大学ではめずらしくありませんよ。 私はイギリスの某有名大学卒ですが、学生時代の物理学専攻の親友は語学の天才で、趣味でタミール語を独学したりして、しかも1ヶ月後くらいにちゃんと話せるようになっている人でした。実際にいくつもの言語でそれぞれのネイティブと会話しているのを傍で目撃していますから、間違いありません。あともう一人の友人は百科事典的知識（記憶力？）の持ち主で、いろんなことに興味を示し、今はアメリカのアイビーリーグの大学で教授になっています。私はただの凡人なので、そんな人たちばかりに囲まれていて非常にコンプレックスを感じましたが。 あと面白い例は、私の専攻の10年くらい先輩にあたる女性で、私の学生時代には大学図書館の司書になっていた人です。何段か忘れましたが立派な柔道家で、全英凧揚げ選手権優勝者、しかもサボテンのエキスパートで、オーケストラでファゴットを演奏し、自分の着る服をすべて自分で作っている人でした。 私の指導教官だった教授は、私が入学したときから学生はいろいろ幅広く学ぶよう奨励し、実際に私も自分の専攻とぜんぜん関係ない哲学とか脳科学とか人類学の講義に行ったりいくつも言語を学んでいました。ファインマンとか物理の本も、その頃に読みました。イギリスの大学には教養課程がないので、積極的に文系とか理系とか関係なく意欲的に学ぶことは特に大切だと思います。本当に、質問主さんのお父様のおっしゃるとおりだと思います。 博士課程に進むと、自分の研究対象をもの凄くニッチな狭い分野に絞り込むことによって自分が世界の第一人者（権威？）だと思い込んでいるような研究者をよく目にしました。そういう人こそ、自分の世界に閉じこもってしまい、ぜんぜん俯瞰的・学際的な学問ができないんですよね。そういうのは特化といえないと思います。 質問主さんなんて、数学者でサンスクリットをやるなんて素晴らしいじゃないですか。パーニニの文法の構造をしっかり学ぶと、いかに高度で複雑な文法が体系的にまとめられているかがよくわかるはずです。メタ言語の使い方とか、とても紀元前に成立したものとは思えないくらい完成度の高いものです。 他人からみたら、私がやっていたことは無駄に見えたかもしれませんが、その時に習得した言語や（基礎的な）プログラミングの知識のおかげで学術出版の仕事にもありつけましたし、その後もさまざまな知識や経験を活かした仕事をしています。 興味の赴くままに存分に充実した学生生活を満喫してください。就職したり子どもができたりするとあっという間に自分の時間がなくなってしまい、「本業」にしか時間をつかえなくなってしまいますから。