誰を信じていいのかわからず虐められる事に諦めていた少年ユウキが、ある日神社の境内で出会った仔犬、ショクパンとの冒険をきっかけに、自分を取り巻く現状に立ち向かう勇気をもらう物語です。
最初は陰湿な虐めのシーンが多く、読んでいて辛かったです。
後半は守りたい存在のために心を奮い立たせ闘う、ショクパンとユウキに手に汗の冒険譚でした。
児童書でこんなに血みどろで大丈夫なの?
ショクパンが小さな身体を張って守ってくれた事、そんなショクパンの為に出来た精一杯は届かなくても、ユウキに大切なものを残してくれました。
子供世界の過酷さに対比して描かれたユウキの母親の逞しさに心惹かれた。
団地で犬を飼えないことを教え諭すときの毅然とした姿、ショクパンの命を救えなかった時の迷いのない言葉。
優しさだけでは乗り越えられない世界を見てきた人の言葉だと思いました。
「人は変われると。よくも悪くも人は変わる。どっちに変わるかはその人しだい」
胸に刺さりました。