簡単に言うと、レーシングカーを作る産業と、大衆自動車を作る産業は別だと言うことです。
モータースポーツはヨーロッパの貴族社会の催し物としてスタートしましたが、その発展についてはイギリスを中心にしたモータースポーツ産業の成長の歴史でもありました。実際に今でもF1のシャシーを作っているのはほとんどがイギリスのモータースポーツ産業です。
一方で日本やアメリカ、ドイツには大衆自動車を作る大企業はありますが、トップレベルのレーシングカーを作るノウハウはありません。モーターレーシング専門のエンジニアスクールもイギリスにしかないと言ってよい状況ですし、現在のF1チームの多くがイギリスにファクトリーを置き、そこでエンジニアを現地調達してF1マシンを作っています。
もっと言うと、トップレベルのレーシングチームはイギリスにしかなく、それを自動車メーカーが買収してレース参戦しているということです。
イギリスにも自動車ブランドはありますが、ドイツのメルセデスやVW、日本のトヨタやホンダ、アメリカのビッグ3のような国の基幹産業とも言える自動車メーカーはありません。しかし、ことレース産業という点では歴史的にも、現状の技術レベルにおいても、唯一無二と言って良いのがイギリスのモータースポーツ産業です。
だからこそイギリスはレースの本場と言われていますし、国民もレースはイギリスの産業であり文化だという意識が強いでしょう。
ちなみに現在のF1はほぼ全てがコンストラクターと言われるレーシングチームのシャシーに、自動車メーカーが作ったエンジンやPUを載せて走らせています。
これは自動車メーカーとしてF1ドライバーが運転するようなレベルのクルマを作る必要はありませんが、エンジンやモーター・バッテリーの開発には莫大な予算をかけて開発していますから、F1のような場で技術を蓄積することは意味があるとして参戦しているということなのでしょう。もちろん宣伝という意味も大きいです。
最後になりますが、モータースポーツと自動車メーカーというのは切っても切り離せない関係なのは間違いないですが、ぜひ「イギリス、モータースポーツ」で調べてみると良いと思います。かなりモータースポーツの見方が変わると思います。そしてそこに遠く日本から飛び込んで戦うことが、企業でも個人でもとんでもなく大変だということも分かると思います。
ながながと長文が大変失礼しました。