どちらもですね。ただし命令による強制がほぼすべてでした。「志願せよ」と言う命令もあったし、「どうせお前たちは全員が志願する事が分かっているから一々聞かない。こちらから指名する」と言うのもありました。
先日亡くなった海軍ベテランパイロットの笠井智一氏は「志願を募集されたことは一度もなかった。いつも命令だった」と言っています。
「特攻」は航空だけではなく、人間魚雷「回天」もありましたが、「回天」搭乗員募集は「有力な特殊兵器、肉薄一撃必殺を期するものでその性能上、特に危険を伴うものなので、諸君の様に元気はつらつ、攻撃精神旺盛なものを期待する」
「危険を伴う」??戦争で危険を伴わないものない、と志願し、訓練所に行ってみたら体当たり攻撃の特攻兵器であることが分かり、愕然とした、と。これを志願と言いますか、強制と言いますか???
初めは司令部もカッコつけた事を言っていましたがそのうち「とにかく死んでこい!」になってしまった。
レイテ島に米軍が設置した桟橋に体当たりを命じられた海軍の搭乗員が「いくらなんでも桟橋とは、、、せめて輸送船にして下さい」と言ったら、中島飛行長に「文句を言うな。特攻の目的は戦果ではない。死ぬ事だ!」と怒鳴りつけられた。この中島正と言う男は戦後も生き残り「神風特別攻撃隊」というウソだらけの本を書いて特攻を美化し、たっぷりカネを儲けました。
九州に本部を置く海軍第五航空艦隊のある部隊の特攻命令が出ました。真珠湾以来のベテランの沓名達夫飛行兵曹長が「私は今日の攻撃で敵のフネに爆弾を落として命中させる自信があります。その場合は戻ってきてもよろしゅうございますか?」と聞いた。司令長官の宇垣中将は「まかりならん!死んでもらう!」と言ったそうです。そして沓名兵曹長は戻ってきませんでした。
フィリピンにあった陸軍航空隊で、ある搭乗員がマラリアで病室に入っていた。そこへ司令部の参謀がやってきて「お前は 今日、特攻に出る事になっておる」、と。軍医、「この体ではとても飛べません」。参謀、「文句を言うな」とその搭乗員をベッドから引きずり出し、出撃させました。
こういう話はいくらでもあります。零戦撃墜王の坂井三郎や岩本徹三もこう書いています、「特攻命令が出ると部隊の空気は目に見えて暗くなった」「出撃したら必ず死ぬと分かっていて士気が上がるわけがない」
特攻隊には妻帯者、一人息子、長男は除外したと言いますが、ウソですね。最初の特攻隊の隊長は一人息子で新婚。最後の特攻隊長も一人息子。若妻と幼女を残して死にました。
そして戦争末期になると搭乗員はすべて特攻待機。志願も強制も何もありませんでした。