心臓、特に心房細動の場合は左心房(の中の左心耳)に血栓が出来やすいと言われています。画像検査では通常の胸から当てる心エコーでは見えにくく、経食道エコーという胃カメラの先端にエコー端子が付いているものを口から食道の途中まで入れて、体内から観察して有無を確認します。
冠動脈造影CTでも心臓の内部に出来た血栓を検出できることがありますが、それ用に撮影タイミングを合わせて撮らないと検出精度はかなり下がります。
一過性脳虚血発作は、心臓内や、心臓から脳にかけての血管に小さな血栓が発生、塞栓してしまいます。血栓が発生してからから塞栓までの時間はケースバイケースなので、本当に発作の直前に検査しない限りは見える確率は低くなります。ちなみに心房細動を電気ショックやカテーテルアブレーションで通常の脈に戻す処置を行う前に上記画像検査を行うことがありますが、小さいものや、不鮮明な画像クオリティのために、確認できない微小な血栓が隠れていることは残念ながらあり得る可能性と思われます。
脳梗塞が突然起こることについてですが、心臓内から血栓が脳に飛んでいく場合は、飛び出すまでは脳はダメージありませんからMRI検査では異常はありません。心臓内から飛び出して脳の血管に詰まるまでは機序から考えると早くて数秒と言うことも有り得ます。
心臓が関係ない場合ですが、心臓から脳への動脈(左右の頸動脈)までに血圧が大動脈を通ります。この大動脈の内壁に動脈硬化が元々あってそこに血栓が沸いて飛んでしまうと、心臓内から飛んでいったのと同じ状況になります。
頸動脈以後脳までの血管については、首の動脈を撮影するMRI(正しくはMRA)や頸動脈エコーの検査で元々ある程度の動脈硬化病変があれば、将来の脳梗塞のリスクについては指摘できるかもしれません。
ただ動脈硬化で動脈内が詰まる現象自体が、ジワジワ狭くまって静かに閉じることもないことはないにしても、多くは動脈硬化(プラークと呼ばれます)が崩れてそこに血栓が沸いてきて短時間で詰まってしまう(プラークの破裂)機序がありますので、少々の動脈硬化からも脳梗塞は起こり得ます。
以上から、脳梗塞、また心臓など他の臓器の急性梗塞の発症を画像検査で、健康な時に精度高く予測するのは基本的に難しいと考えられます。