楽しいイルカショーでイルカたちがやっている「芸」は、一つを除いてすべて彼らが自然に身につけている動作なのだそうです。
除かれた一つというのは、尾びれで立ち上がってバックしていくもの。
自然の中ではこういう動きは必要ないのでやらないのですが、訓練すればできる動きなのですね。
訓練と言いましたが、動物の訓練は基本的に「面白がってやる」ものを誉めて、さらに面白がってやるようにする…というのが基本です。
その基本になるのは信頼関係。
普段から世話をしたりして相手に受け入れてもらい、コチラに興味をもってもらえるようになって初めて訓練を入れることができるようになります。
信頼している相手が喜んでいるというのが自分の喜びになる。
こういうときにこういう動作をしたら喜んでくれた、というのが“号令に合わせてしてみせる芸”に見えるのです。
動物にいちばんわかりやすい食べ物のご褒美を使うことが多いですが、下地は信頼関係です。
この信頼関係は対等ではなく、人間が上位であることも訓練には重要です。
とは言うものの、芸をする個体だけでなく、すべての動物園の動物たちは飼育員さんとこの信頼関係ができていないと飼育管理自体ができません。
ときどき見るカバの歯磨きも、元々“芸”ではなく人に口の中を見せる訓練(日々の健康管理に必要なので、毎日飼育員さんが行っています)を演出しているのです。
イルカも同じく、“芸”をしない子も号令に従ってプールサイドに仰向けに上がる訓練、口の中とお尻を触られる訓練は毎日行って身につけています。
話をもどしますが、イルカは普段の“自由時間”にもジャンプなどより高くより回って…など、自分で“課題”に挑戦して楽しんでいます。
そういうのを上手に誉めたりして、あのすごいショーになっているのですね。