国籍喪失と国籍離脱を混同するとそういう勘違いを起こします。ブラジル国籍法には国による国籍喪失はあっても、国民自ら国籍離脱する方法がないのです。 しかもブラジル国籍法の国籍喪失は、日本国籍法の国籍喪失とも異なり、 自動喪失するのではなく、一定の手続きを踏まなくては喪失できません。 【ブラジル国籍法第22条 左に掲げるブラジル人は国籍を失う。 1、任意帰化によって他の国籍を取得した者 2、共和国大統領の許可なく、外国政府から委嘱、職務または年金を受けた者。 3、裁判の判決によって、国の利益に有害な活動を行なつた理由により帰化を取り消された者。】 とあるのにもかかわらず、 【ブラジル国籍法第23条 第22条第1号および第2号の場合の国籍の喪失は、職権によりまたは証拠を附した申立により開始せられた手続により、原因が確かめられたとき、共和国大統領により命令せられる。手続は司法内務省において取り扱われ、常に当事者の意見が徴せられる。】 つまり、日本国籍法の国籍喪失は「自己の志望による外国籍の取得」の事実があるだけで自動喪失しますが（義務である国籍喪失届を出さないと戸籍上は残っている状態であっても法的に国籍は失われています）、 ブラジル国籍法の国籍喪失は【職権によりまたは証拠を附した申立により開始せられた手続により、原因が確かめられたとき、共和国大統領により命令せられ】ない限り、【手続は司法内務省において取り扱われ、常に当事者の意見が徴せられ】ない限り、できないのです。 遠い国にいる一在外ブラジル人の帰化のたびに、 【職権によりまたは証拠を附した申立により開始せられた手続により、原因が確かめられたとき、共和国大統領により命令せられ】、【手続は司法内務省において取り扱われ、常に当事者の意見が徴せられ】ると思いますか？ ブラジル大使館へ帰化する本人が赴いても、国籍離脱する権利もなく、自ら希望しようが国籍喪失の決定もされない、結果的に二重国籍になってしまうということなのです。