..本来の伝統的な言い方としては、「チョウフク」ですが、明治時代末期、大正の初めころから口語としては「ジュウフク」がかなり行われていたとみることができるようです。
<これの詳しい調査が、下記資料のP369に掲載されています。>
「重」は、漢音が「チョウ」で、慣用音が「ジュウ」であり、「重」を含む漢字二字からなる熟語では、どちらかというと「ジュウ」と読むものが多く、現代でも日常語としてしばしば使われている語が多い。
......例:重圧・重視・重傷・重症・重心・重税・重役・重量
「チョウ」と読むものには「重畳・重陽」や「慎重・丁重」などがありますが、日常語からは少し離れているようです。
「ジュウ」とも「チョウ」とも読むものには「重臣・重任・重用」などがありますが、これらは、現代語としては、「ジュウ」の方が優勢で、「ジュウ」と「チョウ」とで、意味の区別があるとはいえません。
..以上のようなことから、「チョウフク」は伝統的な言い方、「ジュウフク」は比較的新しい言い方ということができるでしょう。NHKでは「チョウフク」を採っています。
..なお、「重宝」とか「自重」とかのように、「チョウ」と読むか「ジュウ」と読むかで、意味を異にする語もあります。
例えば、「重宝な品物・重宝がられる」.⇔.「伝家の重宝(*注1)」
...........「自重してください」.⇔.「自重1トン」
などのような語です。
(*注1.. この意味の場合にも、古くは「チョウホウ」と言った。)
【資料】文化庁編集「言葉に関する問答集 総集編」p336、p369より