今も獣肉を供える神社や地域は各地に残っています。 四国の山間部や、長野の諏訪地域は有名です。 諏訪大社上社では今も鹿肉や矢に刺した蛙を供えますが、 鹿肉は神事後の直来でそれを煮て神職や氏子らが食します。 ところで、江戸時代には肉食は一応禁止でしたが、諏訪大社が御免箸（ごめんばし） という箸を授与し、この箸を使用すれば肉を食べてもよいと言われ、全国各地に 頒布されました。 つまり、獣肉の供物は、地域差があるのです。 同じように、西日本の神社では、ねぎ、にんにく、たまねぎなどは神前にささげないのが普通ですが、 東日本は、供える神社が多いです。 また御神酒の酒の種類も地域差があります。 それから皇室では、肉は供物にしませんが、魚は供えますが、それを撤下にした 場合に宮中女官は、魚は口にしてはいけないという伝統があります。 同じように中部地方には、恵比寿社にささげた魚は、大人しかたべてはいけないという地域がありますし、 供物に関する考えや伝統などは、全国統一ではないのです。