正確には、『検査データ改竄しないと、出荷できる製品が造れない』と表現した方が良いですね。
日本の製造業で、世界で生き残れるのは、自動車メーカー、自動車部品メーカー、FA機器メーカー、電子部品メーカー位ですよ。
自動車メーカー、自動車部品メーカ、FA機器メーカー、電子部品メーカーでは、常にアメリカやドイツの大手メーカーと世界各地で市場競争をしており、新技術の研究開発に積極的に投資し、VE(バリューエンジニアリング)やIE(インダストリアルエンジニアリング)という手法を用いて、製品品質、製造品質を高めて、アメリカやドイツの大手メーカーに負けないだけの、品質競争力やコスト競争力を磨き上げて来ました。
これに対して、鉄鋼メーカーや非鉄金属メーカーは、研究開発投資を削減し、人件費を削減して、今まで何とか生き残ってきたような業界です。
鉄鋼メーカーや非鉄金属メーカーの製造現場なんて、労働集約的な製造工程で、請負会社の下請社員ばかりですよ。
自動車、自動車部品、FA機器、電子部品業界が、技術革新と製造工程の自動化、省人化、標準化で、コスト競争力、品質競争力を磨いてきたのに対して、
鉄鋼、非鉄金属業界は、50年前の製造工程はそのままで、作業者を正社員⇒請負会社の下請社員に切り替えて、人件費を削って利益を出してきたので、
そのツケが回って来て、現場の品質管理能力も低下して、『改竄しないと出荷できるモノが造れない』状態に陥った結果が、今回の三菱マテリアルの検査データ改竄の顛末です。
神戸製鋼の場合は、品質不正が発覚し次第、世間に公表し誠実に対応していますが、三菱マテリアルは、『天下の三菱』というプライドが邪魔して、品質不正の事実を認めることが出来ず、品質不正が発覚してから半年以上も隠蔽していたので、更に根が深いですね。