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宝塚の中山寺にある宝乃湯という温泉と、同じ泉質の温泉は他にどこにあるでしょう...

jos********さん

2019/7/1622:00:03

宝塚の中山寺にある宝乃湯という温泉と、同じ泉質の温泉は他にどこにあるでしょうか?できれば関東にある温泉を教えていただきたいです。

宝乃湯は「ナトリウム-塩化物強塩温泉[高張性-中性-

温泉]」と書かれていますが、鉄分が多く含まれておりました。

「ナトリウム-塩化物強塩温泉[高張性-中性-温泉]」は割とどこにでもあるのですが、無色透明の温泉ばかりで、あのような鉄分と炭酸が含まれている温泉はなかなか見つけられません。

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unt********さん

2019/7/2116:49:58

宝乃湯に限らず、ある温泉とまったく同じ泉質の別の温泉というのは地球上どこを探してもありませんけどね。ある共通の化学組成上の特徴をもとにした泉質の分類名が広く用いられていますが、成分組成は個々の温泉で異なり、成分総計が1g/kgでも50g/kgでも同じ泉質名になったりしますから。

宝乃湯に「近い」泉質ということで関東とその近辺で探してみましたが、これは結構な難題ですね。

最初に宝乃湯の泉質の特徴について簡単に。
宝乃湯温泉分析書(平成25年4月分析)(文字が小さいので拡大して見てください)http://golden-yamashita.hatenablog.com/entry/2017/04/02/213146
泉質は「含二酸化炭素ーナトリウムー塩化物強食塩泉(高張性ー中性ー温泉)」、溶存物質総量(ガス除く)25.60mg/kg、pH6.62、源泉温度36.1℃です。
遊離二酸化炭素=1,020mg/kgで二酸化炭素泉(1,000mg/kg以上が条件)に該当、鉄(Ⅱ)イオン=16.5mg/kgでかなり多い方ですが、含鉄泉(総鉄イオン20mg/kg以上が条件)には惜しくも該当しません。



宝乃湯のような、塩分濃度が非常に高い高張性の温泉(溶存物質総量が10g/kg以上、人間の体液の平均濃度より濃い温泉)で、鉄分と炭酸ガスの含有量も大変多いタイプの温泉は「有馬型」と呼ばれます。
有馬型温泉は、成分含有量日本一の有馬温泉を典型とする非常に濃厚で個性的な温泉ですが、温泉が作られるメカニズムがかなり特殊で、地殻のさらに下のマントルを起源にしています。もっぱら有馬-高槻構造線と呼ばれる阪神間の断層帯付近でしか湧出しません。



関東地方にも、宝乃湯と同等以上の塩分濃度を持つ高張性温泉だけは沢山あります。しかしそのほとんどは「化石海水型」と呼ばれる、太古の海水が地中深くに封じ込められて圧縮・変成してできた温泉です。地下1000m以上も掘り進める大深度掘削の技術が進歩したことで、近年とくに関東の平野部で新たに掘削されるようになりました。この20年ほどの間に首都圏都市部で生まれた新興温泉施設の多くがこの化石海水型の高張性温泉を使っています。

化石海水型も濃厚で個性的な温泉なのですが、有馬型とは成因がまったく異なるため、塩分濃度が非常に高いという点以外は似ていないところも多いのです。
化石海水型温泉は、炭酸ガスをほとんど含んでいません。また鉄分はいくらか含んではいても、有馬型ほどの含有量はありません。鉄イオンは温泉水1kg中に数mg程度入っていれば湯色を赤っぽくする力はあるのですが、化石海水型は鉄を含んでいても量はあまり多くなく、土類金属イオン(カルシウム・マグネシウム・アルミニウムなど)も多いため、赤というよりは黄色~茶褐色の濁りを特徴とします。
有馬型とは、塩分濃度が近しいだけで「似て非なるもの」と考えてよいでしょう。




本州内陸部には、有馬型に近い断層型の湧出機構で、塩分も高ければ炭酸ガス濃度も高い温泉がところどころにあるのですが、残念ながら源泉温度が10℃~20℃台と低い所がほとんどです。

温泉に含まれる炭酸ガスというのは非常にデリケートでして、湯温が低ければ低いほど炭酸ガスは温泉水中に長時間とどまることができますが、浴用に供するためには加熱せねばならず、火をかければ炭酸は一瞬で吹き飛んでしまいます。
源泉温度が50℃以上ある高温の温泉に含まれる炭酸ガスも同様で、高圧の地下から地表に湧出した途端に炭酸ガスは空気中に飛んでしまいます。高温だと適温に下がるまで冷却に時間がかかるので、その間にも炭酸はどんどん抜けます。高温の温泉では、分析書上は炭酸ガスが多く含まれていても、浴槽に注がれるころには炭酸はあらかた抜けてしまっていることが少なくありません。

缶入りの炭酸飲料は、缶が冷えていれば栓を開けても炭酸はしばらく残りますが、夏などに屋外に放置して生温かくなった缶を開けると大量の泡が噴出してすぐに炭酸が抜けてしまいます。火にかければ一瞬で炭酸ガスは飛んでしまいますね。それと同じ現象が温泉のときも起きます。
埼玉県神川町の「神流川温泉・白寿の湯」は溶存物質が32g/kgもある立派な高張性泉で、炭酸ガスも612mg/kgあって「炭酸泉」を名乗れる基準には達していませんが十分な炭酸含有量です。しかし源泉温度が25.2℃しかないため浴用加熱せざるを得ず、結果として浴槽の湯には炭酸ガスはほとんど残っていません。


すなわち、炭酸泉(二酸化炭素泉)は源泉温度が低すぎても高すぎてもその真価を堪能することができません。湧きたての新鮮な源泉を加熱も冷却もせず入浴できる30℃台後半ぐらいの源泉温度が理想なのですが、こういう自然の炭酸泉は非常に数が少ないのです。

宝乃湯は源泉温度がまさしく「36.1℃」という理想的な炭酸泉です。
このため源泉浴槽(小さいんですけどね)には加熱も冷却も不要な新鮮な源泉を注ぐことができ、デリケートな炭酸泉の感触も十分堪能できる仕組みになっています。
「有馬型」の本家・有馬温泉も高濃度の炭酸ガスを含んでいますが、有馬の源泉は80~90℃の高温のため炭酸はすぐに飛んでしまいます。それよりは泉温がだいぶ低い宝塚など周辺部の温泉の方が、炭酸泉の良さを楽しめるようです。



「塩分濃度の高い高張性温泉」「鉄分多し」「炭酸ガス多し(かつ浴槽でも炭酸の感触を楽しめる適温の温泉)」という宝乃湯に近い泉質の温泉を、強いて関東近辺で探すなら、長野市松代町の「松代(まつしろ)温泉」「加賀井(かがい)温泉」あたりになるのかな、というのが結論です。関東地方ではないですが長野市内なので許容いただける範囲だとは思います。

松代温泉(Wikipedia)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E4%BB%A3%E6%B8%A9%E6%B3%89
長野市松代地区の市街地に湧く温泉で、以前は加賀井温泉と呼ばれていました。戦後になって新たに掘削された源泉を引く宿泊・日帰り施設が数軒誕生して、現在は一般に松代温泉の名で呼ばれています。しかし戦前の創業で別の源泉を用いる「一陽館」は今も加賀井温泉を名乗り、場所も少し離れているため、別の温泉地と見なされることも少なくありません。しかし両者の泉質はかなり似通っている(同じではありませんが)ので、ここでは同じ温泉地として扱います。

松代温泉・温泉分析書(新第3号源泉、平成20年1月分析、松代荘HPより)https://www.matusirosou.com/img/20151217160042887.pdf
溶存物質総量15.52mg/kgの堂々たる高張性の温泉です。炭酸ガス含有量は953.6mg/kgで炭酸泉の規定量(1,000mg/kg以上)にわずかに及びませんが、宝乃湯の1,020mg/kgとほとんど遜色ない水準です。鉄Ⅱイオンは20.7mg/kgあって、宝乃湯とは異なり堂々と「含鉄泉」を名乗れる含有量です。
泉温は45.2℃とやや高めで、炭酸ガスは早めに抜けやすい温度ですが、それでも加熱も冷却も不要な理想に近い泉温には違いありません。

もちろん最初に申し上げた通り、同じ泉質の温泉は地上に二つとしてないので、宝乃湯と違う所は多々あります。宝乃湯の溶存物質は25.60mg/kgですから、松代温泉はそれよりはだいぶ薄く、また松代はカルシウム含有量がかなり多くて土類炭酸泉の特徴が前面に出てきています(陽イオンがほとんどナトリウムの宝乃湯より複雑な味わいがあるともいえます)。
実際に行ってみると、宝乃湯と随分違うじゃないか、という感想をあるいは持ってしまうかもしれませんが、そこは温泉というものの奥深さということでご容赦いただきたいところです。


一番人気は加賀井温泉を名乗る「一陽館」で、ひなびた風情と湯使いの良さで遠方からも大勢の温泉ファンが集まります。温泉マニアを自称する人で一陽館の名を知らなかったらモグリといってよいほど、マニアには有名な温泉です。この温泉が誰よりも好きな館主(おしゃべりで人によってはしつこいと感じるかも)に頼めば裏手の源泉口に連れて行ってくれますが、鼻を近づけると強烈な炭酸ガスにむせ返り、この温泉がただ者ではないことが分かります。男女別の内湯のほかワイルドな露天風呂がありますが、名物の露天は混浴なので女性には少しハードルが高いかもしれません。

松代温泉を名乗る施設では、国民宿舎「松代荘」が温泉の湯使いが素晴らしく、食事等も国民宿舎の水準を超えた良い宿ですが、残念ながら2021年まで改修工事のため休業中です。「ロイヤルホテル長野」は加水・循環・除鉄していて源泉の良さがまったく失われているのでパス、「寿楽苑」は廃業。
ということで現時点でお薦めできるのは「松代温泉公民館」になります。地元外の人間でも日帰り入浴可能です。公民館に併設された男女別の小さな浴槽一つだけの素朴きわまる浴室ですが、小さな浴槽に源泉をたっぷり掛け流していて新鮮無比、茶褐色の濁り湯に炭酸味も残る素晴らしいお湯です。

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