石炭や石油を燃やすと硫黄酸化物が発生します。これは大気汚染や酸性雨などの原因の一つとなる有毒物質です。
1960年代から1970年代には、石油や石炭を燃やすときに排ガス処理装置(脱硫装置)をつけていなかったため、発電所や工場から硫黄酸化物が大量に排出され、大気汚染の原因となりました。
特に三重県四日市市のコンビナートでは、「四日市ぜんそく」として知られる公害病が発生し、社会問題となりました。
その後、大気汚染防止法によって環境基準が定められるとともに、光触媒を用いた酸化物浄化技術や排煙脱硫技術の進歩、脱硫した軽油の使用などによって、硫黄酸化物の大気中濃度は大幅に改善されています。
現在の日本では、中国で発生した硫黄酸化物が偏西風によって日本に運ばれ、大気汚染や酸性雨の原因となっています。
国立環境研究所の調査では、日本で観測される硫黄酸化物のうち 49% が中国起源のものとされており、続いて日本 21%、火山 13%、朝鮮 12% とされています。