ベストアンサー
居住用財産の買換え特例は、買い替えの特例適用時に租税債務が生じるわけではありません。 納税猶予ではなく、課税の繰り延べといいます。 例えば住宅甲(取得費)100を1,000で売却し住宅乙(購入対価1,000)を購入したとしましょう。 特例を適用しなければ住宅甲売却時に譲渡益900に対して課税されるのですが、売却収入の全額を対価に充てて住宅乙に買い替えているので、買い替えの特例の適用を受ければ所得税(譲渡所得)と住民税は課税されません。 この時点で納税義務も生じていないので、その後相続などがあっても債務の承継はありません。 この住宅乙を売却するときに、買い替えの特例の適用を受けていなければ、取得費は購入対価1,000が取得費になります。(減価償却を考えるとややこしくなるのでそこは無視します。) 1,500で売ったとしたら譲渡益は500なので、500に対して所得税等がかかります。 買い替えの特例を受けている場合には、住宅乙の取得費は住宅甲の取得費(100(同じく減価償却は無視))を使うことになるのです。 1,500で売るので譲渡益は1,400、住宅甲を売った時の譲渡益900と住宅乙の譲渡益500の合算額が住宅乙の売却時に課税されることになるのです。 住宅甲の譲渡益を住宅乙の売却時まで先送りするので、課税の繰り延べというのです。 住宅乙について贈与や相続で所有権の移転があった場合、贈与者や被相続人の取得費を受け継ぐことになりますから、相続人等は繰り延べ分の所得税も受け継ぐことになります。(ただし、住宅乙の売却時まで租税債務は確定しません。) こんな説明で分かりますか?
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質問者からのお礼コメント
お二人とも大変詳しくご回答頂きありがとうございました。 税の支払い債務発生が建物売却時なので、相続時の取扱いが今一つわかっておりませんでしたが、相続時に取得費はそのまま引き継ぐという点でようやく理解する事ができました。 考えてみれば、特例云々によらず、親から相続した自宅を売却する際は、購入当初の売買契約書を見て取得費を確認するので、取得費が引き継がれるのは当然の話ですね。 ありがとうございました。
お礼日時:2020/11/30 13:33