OKWは予想される上陸地点を3か所を想定していました。そのなかでもっとも可能性がある地点をカレー地区としていました。航空支援が容易なこと、上陸地点が近く兵站が楽なことがその理由でした。また、連合軍の欺瞞作戦がかなりうまくいったこともその理由の一つです。カレー地区への空襲は、ノルマンディー地区への空襲より頻度が高かったこと、欺瞞部隊や無線など、さまざまな工作がなされました。 ロンメルも当初はカレーを予想していましたが、ノルマンディーの予想に変えました。一説によると、ヒトラーはロンメルの考えに賛同し、ノルマンディーが怪しいと思い始めたが、将軍たちの多数がカレー地区と予想したため、自説を強行に主張しなかった、とも言われています。だから、装甲師団に関しては自分の許可を必要としましたが、それ以外の部隊の配置には口をはさんでいません。ロンメルはそのためにノルマンディーへの部隊配置を促進しています。第91師団、第352師団、第21装甲師団の配置は彼の考えを実現化したものです。また第3高射砲兵軍団の一個連隊もすでにノルマンディー地区に配備されていました。 というわけで、ヒトラーは個人的にはノルマンディーが怪しいと思っていたようです。