西パプア……オランダが植民地を放棄・撤退後、現地の独立を求める意思を無視してインドネシアが強制的に併合。それが黙認される背景には豊富な鉱物資源の利権確保に動くアメリカの鉱山会社フリーポート社など外国企業の存在。
東ティモール……ポルトガルからの独立宣言後、間もなくインドネシアが侵攻。国連の数回に渡る非難決議を無視して強制的に併合。占領過程でティモール人の虐殺が行われるもインドネシアの反共協力と東ティモール沖の海底油田を目当てにオースラリアやアメリカ、日本といった国はこれを黙認する。インドネシア撤退を求める国連決議に反対票。
アチェ……インドネシアの侵攻でアチェ人の王国は滅亡に追い込まれる。スマトラ島沖に天然ガス田が存在し、インドネシア政府と契約する日本や欧米系企業が採掘権を取得。
アンボン(南マルク)……かつて香料諸島と呼ばれるほど香辛料その他の天然資源が豊富。アンボン人がキリスト教に改宗しオランダ側の味方として戦っていた歴史上、昨日の敵であるジャワ人主体のインドネシアに編入で報復されることへの不安も、宗主国から見捨てられた形に。
と、このように周辺に領土を拡げては現地住民を迫害して民族紛争を巻き起こす新興国インドネシアの傍若無人な行動は、国際社会から見て見ぬ振りをされていました。
天然資源とその利権を安定確保する上でも、また当時の米ソ冷戦時代で地域大国であるインドネシアを共産主義に対する東南アジアの防波堤として協力させる都合上も、民族解放闘争の高まりを左翼的な革命運動と結びつけて警戒する考えからも、インドネシアのやり方はむしろ、西側諸国は歓迎していました。