乳幼児はどんなに酷い状況でも自殺しません。 それは、彼らが「意味付け」という行為をする能力を まだ持たないからです。 自殺はそれが実行されるためには、 ポジティブな意味を持たさねばなりません。 自殺によって、社会の注目を集めさせ、犠牲の悲惨さによって、 社会の同情を一身に集め、悲劇のヒーローとなること、 それが、自殺者が自己の自殺行為に与えたポジティブな意味付けです。 そして、この悲劇の悲劇性を成立させるために、 本人の意思ではどうにもならない外的力によって 悲惨な結末にいたらされた、という解釈が必ず報道されます。 そういう悲劇の脚本が彼らの心の中に描かれ、それを遂行してしまった、 というのが自殺の真相です。 そして、その悲劇の脚本を演じたのは、自殺当事者だけでなく、 マスコミ社会もその脚本通りに踊らされたのです。 自殺が社会のマスコミによって、脚本通りに、大きく取り上げられる、 という予測の上にこそ、「社会的意義を持った自殺」というの脚本が、 自殺者の中で成り立っているからです。