それまで閑散としていた空手道場が、稽古場所に困るほど人で溢れて、我々はともかく、師範は顔には出しませんでしたが嬉しさを抑え切れないようでした。
それまでは入会金なんて無かったのに、急に入会金を定めて、しかも、月謝3月分先払い制度まで決めたのには弟子一同、口あんぐりでした。
師範には寡黙で強過ぎる武人以外の印象は無く、「やる時ややるんやな。」って、ちょっと笑ってしまいました。
しかし、師範代曰く、師範は道場運営に私財をかなり注ぎ込んで来たので損失を取り返すチャンス!って思っていたようです。
師範の思惑通り、だったのかどうかは分かりませんが、新規入門者の9割以上は痛みと辛さに耐え兼ねて1月以内に来なくなったので、前払い月謝と入会金はほぼ丸儲けになり、師範は陰でブルースリーに手を合わせていたかも知れません。