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今までに読んだ四作品の特徴を述べます。ただし、あくまでも個人的な感想なので別の感じ方があるかもしれません。(読了順) 原卓也(新潮文庫):1971年 最初に読んだ作品で自分にとってのスタンダードです。長い長い晦渋な一文を区切らずそのまま訳している、いわゆる原文に忠実な翻訳です。 米川正夫(岩波文庫):1918年 自分が読んだのは河出書房新社の全集です。なんと言っても訳が古いので言いましや使われている言葉に古さが否めません。格調ある訳ですが、長い長い晦渋な一文は区切ってわかりやすく読みやすくしています。なお氏の息子さんが改訂しているとのことですが、そちらは読んでいないので分かりません。 亀山郁夫(光文社古典新訳文庫):2007年 何かと批判の多い訳ですが、自分はとても読みやすかったと思います。意訳が多いとのことですが一般の読者にあっては全く気づきません。誤読に誘導などとは専門家のこだわりでしかありません。およそ強烈な毒をまき散らすドストエフスキーにあっては、そんなものはすべて吹き飛んでしまいます。なお、長い長い晦渋な一文は区切ってわかりやすい訳になっています。 池田健太郎(中公文庫):1966年 こちらもいわゆる原文に忠実な翻訳ですが、原との違いは読んでいてとてもスピード感が感じられます。もともとの晦渋な文で訳しているのにスラスラ読めるという不思議な訳です。好き嫌いで言えば一番好きかもしれません。なおこの本は現在流通していませんので、古書で求めることになります。 *年は翻訳年で改訂は反映されていません。 (おまけ) 杉里直人(水声社):2020年 昨年購入しましたが、未読です。数年に一度ドストエフスキー熱が襲ってきますのでその時に読む予定です。詳注版とある通り、詳細な注釈が別冊であります。氏のネット記事を読むと先人の江川卓などの訳を参考に、できるだけ原文に忠実にしたとのことです。最大の欠点は値段が○カ高いことです。
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