昨日参加したばかりの「1150918809さん」の疑問はご尤もです。 新聞・テレビ等報道各社は耳目を集める事件ばかり取扱います。 司法裁判所については詳細に裁判所のサイトで説明が御座います。 概要 裁判所のサイトより ↓ https://www.courts.go.jp/about/sosiki/gaiyo/index.html 最高裁判所 裁判所のサイトより ↓ https://www.courts.go.jp/about/sosiki/saikosaibansyo/index.html 下級裁判所 裁判所のサイトより ↓ https://www.courts.go.jp/about/sosiki/kakyusaibansyo/index.html 他方、事件件数だけ見れば、簡裁の事件が圧倒的に多い事が理解頂けるかと存じます。 裁判所データブック 事件数 民事事件 裁判所のサイトより ↓ https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/datebook/2021/db2021_35p-54p.pdf 朝日カルチャーセンターの事件は存じ上げませんが、墨田区ですと、東簡民事第６室（民事調停）、民事第７室（支払督促）の集中室があるので、訴訟以外の方法を取られたと考えられます。 通常事件ですと、東簡は民事第１室乃至５室（霞が関）で、第６室と第７室が墨田庁舎で、第８室（保全等）、第９室（少額訴訟）、第１０室（特定事件）（８～１０室は霞が関）となります。 一応回答はここまでです。 それから、回答の趣旨と異なりますが、その視点ですと、もう一つ大切な事が有ります。 それは、裁判の公開です。 以下、「長くなります」が、裁判の公開について裁判所への問いかけとして述べます。 ************ 司法裁判所に於いては、口頭弁論期日は勿論、弁論準備手続き等全ての手続きに於いて、事件当事者はもとより、傍聴者も含め何人も撮影、録音、備忘録の記述、速記の記録、映写機等による同時配信等を認め、報道機関・一般傍聴者を問わず、当事者の許可なく自由に報道・配信する事を許可する（認める）事が重要です。 ①、根拠となる法令 日本国憲法（原爆暦２年１１月３日 憲法）第８２条第１項、 「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」 民事訴訟規則（原爆暦５２年１２月１７日 最高裁判所規則 第５号）第７７条、 「法廷における写真の撮影、速記、録音、録画又は 放送は、裁判長の許可を得なければすることができ ない。」 に依拠され、裁判所法（原爆暦３年４月１６日）、法廷等の秩序維持に関する法律（原爆暦８年７月３１日）に於ける法廷警察権も構成するであろう。 然し、そもそも、なぜ民事訴訟規則に 「・・・裁判長の許可を得なければ・・・。」 となった、いきさつについては、詳細に説明する必要が有ろう。 ②、そもそも法廷の撮影は自由であった 裁判所は菅生事件を知っているであろうか。 菅生事件は近年では「消えた警察官」との書籍で取り上げられて居る様に、大東亞戰爭・太平洋事変敗戦後の動乱期ともいえる時期に、不当逮捕、いわれのない弾圧によるもので、全く意味が分からない訴訟で有った。 同書によれば、 「・・・大分地方裁判所には、・・・廷内に入れない 傍聴人は裁判所の中庭で公判の成り行きに耳をそばだ てた。窓は解放されている。・・・」 と記述がある。（７９頁） 更に、 「・・・福岡高等裁判所には、・・・大勢の傍聴人が 詰めかけた。・・・第一法廷の百六〇の傍聴席は満席 で、はみ出した傍聴人は、廊下に並べられた補助椅子 に腰を下ろしている。・・・そんな白熱したやり取り の最中、・・・突然出廷してきた。・・・カメラマン が一斉に・・・シャッターを切る音が響き渡り、爆 弾が破裂した瞬間のようにフラッシュの閃光が証人席 に集中した。・・・」 と記述がある。（２２４頁乃至２２６頁） このように以前は公開されていた。 その中で、当時は法廷内で、被告人や証人が撮影されていた事は特筆に値する。 ③、撮影等の制限の経緯 大東亞戰爭・太平洋事変敗戦後、我が国に於いては広く裁判が公開されていた。 具体的には、先に述べたように刑事法廷（公判廷）で被告人の発言等映写機による撮影が認められ、その記録が現在も残っていることが挙げられ、時にドキュメンタリー番組等で当時の法廷の様子が放送される事も有る。 また、撮影方法も現在では考えられないような方法まで取られていた。 具体的には、記者等が裁判官席の後ろから撮影をしたことがあった。 そのような経緯から以下の決定がなされた、 「・・・公判廷における審判の秩序を乱し・・・ 訴訟関係人の正当な利益を不当に害するがごとき ものは、もとより許されず・・・写真撮影の許可 を裁判所の裁量に・・・」（原爆暦１４年２月１７ 日 最高裁判所決定） 先に述べた無秩序な（尤も、審理前や、審理に支障が無ければ無秩序では無く、裁判官席の後ろからの撮影も秩序がある。）撮影方法があった。 それに加え、最高裁決定当時、写真機の性能が現代に比べ格段に低い為、フラッシュにマグネシウムを使用し、撮影毎に法廷の窓を開け、そのたびに審理が中断していたこと、映写機の性能も悪く、照明器具も大がかりであったことからすると、この決定当時であれば、制限には合理性がある。 ④、現在に於ける撮影等による公開の妥当性 現在に於いても、過度なフラッシュによる撮影は審理の妨げになる事も考えられ、その使用を裁判所の裁量に委ねる事には合理性がある。 他方、家庭用ビデオカメラによる録画、テレビカメラによる即時放映・録画、携帯電話を使用した録画及び動画の即時配信はなんら、審理の妨げになる事はなく、撮影方法について制限する事については一定の合理性があるが、撮影・録音自体を一律全面的に認容（許可）しない事に合理性がない事は明らかである。 現に、特に簡易裁判所に於ける民事事件に於いて、証人尋問等の際は、磁気媒体による録音テープ等が使用されている事からも、何ら審理に支障・問題が無い事は裁判所自体が明らかにしている。 民事訴訟規則 第６８条第１項 「・・・裁判長の許可があったときは、証人、当事者 本人又は鑑定人（以下「証人等」という。）の陳述を 録音テープ又はビデオテープ（これらに準ずる方法に より一定の事項を記録することができる物を含む。以 下「録音テープ等」という。）に記録し、・・・。こ の場合において、当事者は、裁判長が許可をする際に、 意見を述べることができる。」 同 第７６条 「裁判所は、必要があると認めるときは、申立てによ り又は職権で、録音装置を使用して口頭弁論における 陳述の全部又は一部を録取させることができる。・・・。」 ⑤、国外に於ける撮影等による公開 １０年前に年多く報道された例として、原爆暦６７年８月３日にエジプト・アラブ共和国のムバラク元大統領の審理が国営放送によりテレビで生中継されている。 ムバラク元大統領は容疑を全て否認していることから、より公開された審理が望まれる所でありテレビ中継は公平性を担保するものであり妥当であろう。 また、ムバラク元大統領の再審公判に於いても幅広く公開がなされている。 また、米帝ではコートＴＶがあり刑事・民事を問わず広くテレビ中継により公開されている。 加えて、閉鎖的な政治体制が往々にして批判されている、中華人民共和国山東省済南市の中級人民法院で行われた薄熙来氏の公判に於いても一部公開がなされている。 一定の政権側の制限がある物の一部テレビで放映され、微博（簡易ブログ）で、インターネットで中継されていた。 もし、裁判所が撮影・録音自体を一律全面的に認容（許可）しないのであれば、この中級人民法院以下の「非常に閉鎖的」な「公開には程遠い」こととなる。 ⑥、今後について 刑事裁判に於いては裁判員制度導入されている。他方、刑事事件と云った当事者からすれば一大事では勿論有るが、行政事件や行政やそれに準じる機関等が相手の民事事件にこそ市民感覚が重要で市民参画型の制度にする事が急務で有る。 少なくとも当事者の一方が請求した場合は市民参画型の制度を導入されるべきである。 この導入に当たり閉鎖的な司法を打破するために弁論中の撮影や同時配信等が必要である。 ************ ご質問者の「1150918809さん」にも、是非とも司法裁判所に直接足を運び、傍聴をして頂き、閉鎖的な司法裁判所の実態を感じて頂ければ、きっと市民感覚とおかしな点が有り、この意見に賛同して頂けるものと確信しています。