江戸川乱歩の「陰獣」を読まれた方、 感想、評価をお願いします
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ID非公開さん
2022/5/20 8:02
探偵小説家の寒川は、美術館で偶然出会い、親しくなった若く美貌の人妻・小山田静子から相談を受ける。静子がかつて振った元カレ・平田一郎が、今は探偵小説家の大江春泥となっており、静子に復讐するためにストーカー化、脅迫状を送りつけてきたというのだ。同業者としてライバルでもある寒川と春泥だが会ったことはなく、現在執筆を中止して行方をくらましているという春泥の情報を寒川は調べ始めるも、静子の夫である六郎の遺体が発見され・・・。 陰獣たるところの犯人・大江春泥の正体をめぐって、推理は二転三転、一度は正解と思われた結果がまた覆され、なかなかにスリリング。それでいて、犯人がわかってすっきり謎が解けるというわけではなく、なんとも文学的な余韻を残すあたり、かなり完成度の高い中編でした。春泥の作品というのが、乱歩自身の作品のパロディになっているのも楽しい。語り手である寒川と、春泥、どちらも乱歩自身の分身のようでもある。(乱歩本人は、春泥は自分だが寒川のモデルは甲賀三郎だと言っていたらしい) そして「陰獣」というとなんだかエロティックな響きに感じるが「淫獣」ではなく「陰獣」なので、陰険、陰湿などのほうの意味だとのこと。いまどきの若い子がいう「陰キャラ」に近い意味ですね。 同時収録の短編いくつかの中では「踊る一寸法師」が不気味さでは圧巻。ポーの跳び蛙っぽいなーと思いながら読んでいたのだけど、解説によるとやっぱり乱歩自身もあれをイメージして書いたらしい。
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質問者からのお礼コメント
ありがとうございます。
お礼日時:5/21 15:01