私見です。 ベスト盤に適しているアーティストは洋楽ではマドンナとかシカゴとか。邦楽だと松田聖子とかなんですよ。 条件はヒット曲がとにかく多い、しかし通常のオリジナル・アルバムは買うほどではない的アーティスト。それプラス1曲が3分～5分程度の人。 たとえばマイケル・ジャクソンはヒット曲多数ですが私は「オフ・ザ・ウォール」と「スリラー」と「バッド」と「デンジャラス」をすでに持っていたのでマイケルのベスト盤は買いたいと思いませんでした。 逆にベスト盤に適していないアーティストはクラシック音楽全般。たとえばヘルベルト・フォン・カラヤンとかグレン・グールドとか、作曲家編集でバッハのベスト盤とかベートーヴェンのベスト盤。ロックだとレッド・ツェッペリンとかピンク・フロイドとかキング・クリムゾンとかイエスとか。人気バンドですがヒット曲はほとんど皆無。しかも代表曲は時間が長い。イエスのベストなら「ラウンドアバウト」と「危機」は外せないと思いますがこの2曲で27分以上。 ジャズも全般的にベスト盤は向いていないと思います。ジャズでも1940年代くらいまでのものだと、たとえばグレン・ミラー楽団とかこの時代のデューク・エリントン楽団とかベニー・グッドマン楽団とかなら大丈夫だと思います。大丈夫だと思う最大の理由は人気曲がけっこう5分以内だからです。 私はいろいろな音楽を聴きます。CD等音楽コレクションの量は相当なものです。 ローリング・ストーンズはキャリア50数年の現役バンドですがオリジナル・アルバムを20枚持っていれば一角のストーンズ・ファンだと思います。20枚で全体像がつかめますね。 しかしジャズのマイルス・デイヴィスとかジョン・コルトレーンとかチック・コリアとかキース・ジャレットなんかは20枚聴いた程度では話にならないところがあります。リーダー作だけでみな100作前後からそれ以上ですからね。しかも上記のアーティストはアルバム毎に驚くほど音楽スタイルを変化させ続けました。私自身はSpotifyの有効活用でそれぞれ80枚以上は聴いていると思います。その感想で言えば上記のジャズ・アーティストはそれぞれ50枚は聴かないと全体像がわからないのでは？と思っています。 マイルス・デイヴィスの最も有名で最も評価の高い」アルバムは「カインド・オブ・ブルー」で最も有名な曲は1曲目の「So What」。近年その次に評価が高いのは「ビッチェズ・ブリュー」。最も有名な曲は1曲目だと思いますが、この2曲だけでちょうど30分。 ベスト盤に向いてないと思いません？ コンセプト・アルバムといえばビートルズの「サージェント・ペパーズ (1967）」が有名ですが、ジャズも1950年代くらいからオリジナル・アルバムは薄っすらとコンセプト感があるものが多いです。名盤と言われるものはたいていそうです。アルバム毎に統一された一定の世界観があってそこの浸るのが気持ちいいんですよね。 フランク・シナトラなんかもベスト盤は聴いてて楽しくありません。そしてベスト盤を聴いているうちはフランク・シナトラを理解できていませんでした。 しかしオリジナル・アルバムはそれぞれ統一された世界観があってフランク・シナトラの面白さがやっとわかるようになりました。 自分で好きな曲を集めてプレイリストを作ってもガチャガチャした感じになり楽しめない。 iPodが新発売直後にiPodを購入しました。超絶感動しました。それ以降プレイリストで音楽を聴くようになりアルバムで音楽を聴く習慣がなくなりました。 しかし数年経過後、なんとなく再びオリジナル・アルバムを通して音楽を聴く感じになりました。Spotifyを利用しはじめてからはさらにその習慣は強化されました。 紆余曲折の結果、今の私はオリジナル・アルバムで音楽を聴くのが好きです。 また変わるかもしれないし変わらないかもしれません。