梶井基次郎の檸檬は有名な作品ですが、良さはどこなのでしょうか。 文学志望でカネが無くて少々頭のおかしい男の或る日の断片にしか思えません。

文学、古典 | 小説177閲覧

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「檸檬」の良さと大江健三郎の「死者の奢り」は似ています。どちらも、価値観の転換期にあってある種の閉塞感の中にある青年の物語です。 主人公は言ってみればスランプでした。スランプとは成長の一過程であり、古い価値観から新しい価値観への脱皮にともなうところのスランプです。主人公は昔と今では好みが変わりました。昔は丸善が好きだったが、今は崩れかかった街だとかむさくるしい部屋が覗いていたりする裏通りが好きになった。そんな主人公が青果店で檸檬と出会い、これこそ自分が探し求めていたものだという気がします。主人公は青果店で買った檸檬をたもとに入れて、しばらくぶりで丸善へ行きます。丸善とはすでに権威づけられた過去の価値観の館であり、そこにある画集とは古い価値観、古い美の堆積です。主人公はそれを積み上げ、その上に檸檬の爆弾を仕掛けてその場を立ち去ります。やがて檸檬爆弾が爆発して丸善もろとも吹き飛ばす。それによって主人公は過去の美との訣別を果たし、新しい美の戦士となる、これがこの「檸檬」という小説なのです。 「

大江健三郎の「死者の奢り」という小説は、大学へは入ったが、自分が何をしたいのかわからない閉塞感の中で、医学部の死体運搬のアルバイトに応募し、死者と向き合うことによって自分を見つめなおす、という小説です。 アルコール水槽に保存されている解剖用の死体を処理するうちに、死体という物の存在の確固とした優位性、それに対する自分という何物でもない存在の曖昧性にある種のコンプレックスを抱くというような内容で、それがつまり「死者の奢り」です。