『里見八犬伝』1983年、薬師丸ひろ子、真田広之。深作欣二監督。この映画はおすすめでしょうか?

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何回か見ました。見始めるとずっと見てしまうタイプの娯楽映画。

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2022/6/22 3:23

本作の監督に起用された深作欣二が脚本に加わると、『魔界転生』(1981)のようなダークな物語に変化します。しかしアイドル映画としての魅力を重視する角川春樹はこれを認めず、やがて映画化される決定稿が完成します。 本作に登場する、『スター・ウォーズ』や『レイダース』を大いに意識したシーンは、当初から狙ったものでした。 しかしハリウッド大作映画に比較すると、大ムカデや大蛇といった矢島信男の特撮シーンは、実に手作り感あふれるものです。ここに当時の日米映画の力量の差が現れたとも言えるでしょう。 しかし仁瓶まゆみが手がけた特殊メイクと共に、おどろおどろしい「見世物小屋」感覚を持った、独特の魅力を放つ作品になったとも評せます。 そしてジャパンアクションクラブ(JAC)の若手スターとして、薬師丸ひろ子の相手役を務めた真田広之らの、体を張った激しいアクションシーンも登場します。『宇宙からのメッセージ』では強引であった剣劇が、時代劇を舞台にして華麗に繰り広げされました。 この激しくテンポの良い映画を、深作欣二は2000近いと言われるカット数を用いて作り上げました。これは俳優・スタッフを疲弊させ、乗馬やアクションにも挑戦した薬師丸ひろ子も撮影中に倒れ入院を余儀なくされます。 映画を期待させるため、誇張され伝えられた部分もあるでしょうが、天候に恵まれず長期化したロケ、危険な場所での撮影、特撮・アクションシーンの難航などの結果、製作費は高騰し撮影は公開直前まで行われたと伝えられています。 しかし1983年12月、拡大して劇場公開された本作は大ヒット、1984年の邦画配収1位を獲得。また大胆にも映画公開と同時にビデオを発売しますが(ビデオソフトは1本4800円で販売)、当時としては破格の5万本以上のセールスを記録しました。 この結果薬師丸ひろ子の人気はさらに沸騰します。映画の出演者・内容を含め、『里見八犬伝』は当時を代表する映画である、と呼んで良いでしょう。 あの時代の空気を見る者に感じさせる映画『里見八犬伝』。当時を知らない方にも、この魅力は伝わるのではないでしょうか。 改めて作品を振り返ると、恋ありアクションありホラーあり、エロチックなシーンにラブシーンも存在する、あらゆる娯楽映画要素を詰め込みながら、最後まで破綻せずに観客を楽しませてくれる作品です。 ハリウッド映画的なスケール感を持っていますが、『宇宙からのメッセージ』のように海外市場は意識せず、アイドル映画として日本国内の観客をターゲットにした感はあります。しかしそれも本作成功の大きな要因でしょう。 そして原作の「南総里見八犬伝」を知らずとも楽しめるストーリー。駆け足で進むきらいはあるものの、説明過多に陥らずにテンポよく進む展開は見事です。 現代の映像作品には、この物語の設定や世界観の説明を省略する作品が増えたように見受けられます。しかし本作は見事に脚本と演出の力で全てを観客に伝えました。 これはかつて、黄金時代の日本映画界を支えた人々の力が結集した結果、と呼んで差し支えないでしょう。 かつての日本映画を支えた人々が、まだ映画を製作する体力を残していた映画会社と共に完成させた、最後の輝きを見せた大作映画の1つかもしれません。 以降日本映画は、テレビ局や製作委員会主導で作られる作品が増加し、スタジオ主導で製作される映画は少なくなります。日本映画業界の節目の時期に作られた作品こそ、本作だといえるでしょう。 『里見八犬伝』をご覧になる際は日本映画界、そして日本の芸能界の歴史と重ねると、より深く楽しむことができるのです。文句なくお薦めです。