xは実数とします。
不等号x²≧-1は成り立ちます。
等号x²=-1は成り立たないです。
しかしx²の最小値は0です。
不等号が成り立つときでも、最小になるのは等号が成り立つときとは限りません。
不等号x²≧1は成り立ちます。
等号x²=1はx=±1のときに成り立ちます。
するとx²は1以上なので1より小さい値は取りません。それなのにx²=1になることはあります。だからこの場合x²の最小値は1です。(x=±1のとき)
このように不等式x≧aが成り立つだけでxの最小値はaとは言えないのです。
x≧aが成り立って、かつx=aになることがあって初めてxの最小値はaと言えます。
だから相加相乗を使って最小値を求めるときに、等号成立を確認しているのは
「等号成立条件時が最小値になる」からではなく、「等号が成立しなければ最小値とは言えない。最小値と言うためには等号が成立することがあることを確かめなければならない」からです。