大卒者に期待される能力は,その専門知識だけじゃなく,
課題発見能力と課題解決能力とよく言われます。
文系だろうと理工系だろうと,職場の現場で何か問題が
発生したときの解決策を論理的に推測できてそれを実現
する能力や,問題が発生する前にそれを論理的に予測して
対処する能力,これが大卒者に期待されている能力だそう
です。対象をモデル化して分析して結果を考察して,
その結果の問題点まで提示できる能力ですから,文系で
勉強しようと,理工系で勉強しようと,そういう科学的
アプローチを身につけていると期待されているわけです。
かなり総合的な判断を強いられますので,例えば弁護士
さんでも勉強して理工系の知識を知らないとやっていけ
ないこともあるし,技術者でもその地方の文化などを
理解できるような社会学的な勉強をしないと,いい事業
を完成させることができないこともあるわけです。
そして,その二つの能力を発揮できて実績がある人だけが,
課長・部長・取締役への昇進するだけのことです。
高卒の人達には,そういう総合的な判断ではない代わりに
高度な専門的な技能や知識を期待されます。要求される
性能を持つ「ブツ」をどうやったら実現できるのか,
そして実際に造れるのか,それを大卒の人よりも正確に
指摘して実現する専門的な能力,それを期待されています。
どちらもいないと社会は成立しません。単に有名大学で
学位をとっただけでは昇進はできません。それは入口
までのこと。有名大学に入学できたことや,卒業できた
ことを,その人の実力だとは誰も考えません。