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筋肉にできる悪性腫瘍は狭義には癌ではなく肉腫と呼ばれることと、そもそも癌に比べて肉腫になる確率が低いことが筋肉の癌をあまり聞かない理由となります。 「癌」は「上皮組織に生じた悪性腫瘍」と定義されています。筋肉は上皮組織ではありませんので、狭義の癌にはならないということになります。 ヒトの体の組織は、上皮組織、筋肉組織、結合組織、神経組織に分けられます。このうち上皮組織は、おおざっぱに言えば皮膚や臓器の表面、消化管の内側の粘膜など、体の内外の表面を覆う細胞の集まりです。上皮組織は体の保護、ホルモンの分泌、栄養の吸収など、様々な役目を持っています。 「癌」は上皮組織の細胞が変異してできた悪性腫瘍で、発達すると周囲の組織に浸潤したり、リンパ管や血管を通って遠くの臓器に転移したりする性質があります。 一方、上皮組織以外にも転移したり浸潤したりする悪性腫瘍はできます。上皮組織以外の組織に発生する悪性腫瘍は「肉腫」と呼ばれます。ただし、肉腫になる確率は癌になる確率よりも低いですね。 したがって、「筋肉も悪性腫瘍(肉腫)になるが、癌とは呼ばない」となります。悪性腫瘍と癌を同義の言葉(広義の意味)として使う場合には「筋肉も癌になる」と表現することが可能です。 筋肉は、骨格や心臓を動かす横紋筋と、胃や腸などを動かす平滑筋に分けられます。心臓を動かす筋肉である心筋は、基本的には強い力を出す横紋筋としての性質を持っていますが、平滑筋と同様、疲れにくいという性質も併せ持っていますので、ほかの横紋筋を波一線を画して考えることもあります。 横紋筋肉腫は、横紋筋に由来する細胞にできる肉腫です。小児に発生する胎児型、成人の四肢に発生する胞巣型、45歳以上の成人に見られる多形型などがあります。小児に発生する胎児型が多いのが特徴の一つです。 平滑筋肉腫は、平滑筋に由来する細胞にできる肉腫です。平滑筋は消化管、子宮などを形成する筋肉です。消化管で食べ物が食道から胃へ、胃から小腸へ、小腸から大腸へと送られていくのも、この筋肉の運動によります。 消化管が食べ物と接する部分は上皮組織からなりますが、裏打ちしている筋肉組織に由来する細胞に悪性腫瘍ができると、平滑筋肉腫と呼びます。平滑筋肉腫は50歳以上に多く発生します。一方、上皮組織に由来する細胞に悪性腫瘍ができると、できた場所により、食道がんや胃がんのように呼ばれます。 非常にまれですが、心臓の筋肉から肉腫が発生することもあります。 また、体のほかの部位にできた肉腫が筋肉の組織に転移してくることがあります。心臓の肉腫の多くは、転移してできてものだと考えられています。 このように、がんの定義によっては筋肉も癌になるんです。
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