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行政不服審査法の裁決などでは、既判力と言うことは問題にならないのでしょうか。...

purinnpippiさん

2011/10/3112:58:17

行政不服審査法の裁決などでは、既判力と言うことは問題にならないのでしょうか。既判力と言うのは、訴訟での言葉なのでしょうか。

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2011/10/3113:28:33

結論から言いますと,行政不服審査法(以下,行審法といいます)の裁決には既判力は問題になりません。

そもそも既判力とは何かというと,裁判所の終局した確定判決の効力であって,同一事件についての後の裁判について生じる拘束力,です。

これにより,同じ事件について,後の裁判所は,前の裁判所が下した判断を前提として事件を処理しなければならない,ということになっています。
これは後の裁判で紛争を蒸し返せるならば,裁判など意味がなくなること,
前の裁判で十分に主張立証を尽くしているから,このような拘束力を認めても当事者に酷とはいえないことから定められている効力です。

行審法の裁決を下すのは,裁判所ではなく行政庁ですから,既判力というのは問題になりません。

もっとも,行審法の裁決については,不可変更力という効力が問題になることがあります。

一般に,行政庁は違法な行為をしたときに,その効力を失わせるために,職権でその行為を取り消すことができる,といわれています。
これは,行政庁が公の組織である以上,違法な行為を取り消すことを認めるほうが,違法抑制に適しているからです。
そして,このことから,当然に適法な行為であっても,その必要性があれば取り消すことができます。これは撤回と呼ばれます。

しかし,不可変更力とは,このような原則にもかかわらず,争訟を裁断するような性質のある行政行為(行審法の異議申し立てに対する決定や,審査請求に対する裁決など)については,処分(そのような判断をすること)をした処分庁は特別の規定がない限り自ら変更をできないという効力です。

これは紛争の終局的解決を目的とした制度だから,と言われます。

さらに,処分庁だけでなく,上級庁や裁判所も取り消し変更できないという,実質的確定力というものが言われる場合もあります。
しかしながら,裁判所が拘束される,ということは現行の行政訴訟法上では事実上ありえず,そのような法律もありません。
上級庁などが拘束される,とした事件としては,最判昭和42.9.26.民集21.7.1887があります。

これは,農地委員会が,農地買収計画に対する異議申し立てを受けてこれを自ら取り消した後に,再度の買収計画を立てることを違法とした判例です。


よって,行審法の裁決に既判力はないのですが,若干類似する効力がないとまではいえません。


参照文献:『行政法』(第二版)p92櫻井敬子,橋本博之 弘文堂(2010)
『民事訴訟法講義』(第二版補てい版)p439以下 中野貞一郎 松浦馨 鈴木正裕編 有斐閣大学双書(2006)

質問した人からのコメント

2011/11/3 00:15:19

降参 とてもよくわかりました。どうもありがとうございました。

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