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二人称単数複数の区別の消失の理由

pup********さん

2013/4/1704:46:00

二人称単数複数の区別の消失の理由

次は口語訳聖書マタイ6:16-18 です。

16 また断食をする時には、偽善者がするように、陰気な顔つきをするな。彼らは断食をしていることを人に見せようとして、自分の顔を見苦しくするのである。よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。17【あなたがたは】断食をする時には、自分の頭に油を塗り、顔を洗いなさい。18それは断食をしていることが人に知れないで、隠れた所においでになる{あなたの}父に知られるためである。すると、隠れた事を見ておられる{あなたの}父は、報いて下さるであろう。

文語訳の対応箇所を見ると、

16 【なんぢら】斷食するとき、僞善者のごとく、悲しき面容をすな。彼らは斷食することを人に顯さんとて、その顏色を害ふなり。誠に汝らに告ぐ、彼らは既にその報を得たり。17 {なんぢは}斷食するとき、頭に油をぬり、顏をあらへ。18 これ斷食することの人に顯れずして、隱れたるに在す{汝の}父にあらはれん爲なり。さらば隱れたるに見たまふ{汝の}父は報い給はん。

とあって、括弧で示した様に、17節の二人称代名詞の単複が齟齬しています。ギリシア語では文語訳に一致しているそうです。口語訳が参照したらしいRevised Standard Version では

16 "And when you fast, do not look dismal, like the hypocrites, for they disfigure their faces that their fasting may be seen by men. Truly, I say to you, they have received their reward. 17 But when you fast, anoint your head and wash your face, 18 that your fasting may not be seen by men but by your Father who is in secret; and your Father who sees in secret will reward you.

とあり、二人称代名詞は単複同形の you 一種になっています。口語訳訳者はギリシア語を点検せずに、単複の区別のない RSV を適当に利用したために誤ったようです。
異本の文語訳に相当する古めの英語聖書では、二人称の単複の区別が thou/ye とされている英語を用いているので、単複の混乱は起こりません。

ところで、どうして英語は近代になってから、二人称の単数複数の区別を放棄してしまったのでしょうか。個と全体に対する近代的な思想の発達と連関しているのでしょうか。他のヨーロッパ諸語では大体が二人称単複の区別を保っているのに、不便ではないのでしょうか。識者の御教示が頂けたら、嬉しいです。

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ベストアンサーに選ばれた回答

muc********さん

2013/4/1705:46:43

フランス語やドイツ語では、動詞語尾の人称別変化を比較的によく保っていたのに対して、英語では、フランス語が公用語であった時代(つまり、英語が記録用の言語としてはあまり使われなかった時代)に、動詞語尾の人称別変化が摩耗してしまったことと関係があるようです。

Cambridge History of the English Language

During the last two centuries (1400 - 1600), the second person singular of verbs (as lovest, lovedst, wilt love) has gradually vanished from ordinary usage. This has gone hand in hand with the disuse of "thou". In Middle English, French influence led to the employment of "ye", "you" as a ceremonious substitute for "thou", "thee"; and, by 1600, the plural had come to be the regular polite form of address, while the singular remained chiefly in family use (parent to child, master to servant) and for contempt. Thou, consequently, became generally obsolete, though still retained in poetry, in liturgical language, sporadically in dialects, and by quakers -- who employ "thee" as nominative construed with third singular. The surrender of "thou" is, to some extent, a loss. English has no longer the advantage of a familiar as well as a polite style of address nor the clearness arising from the power to make a formal distinction in number.

http://www.bartleby.com/224/1504.html

質問した人からのコメント

2013/4/23 02:35:20

抱きしめる 御回答くだされたすべての方に御礼申し上げます。ケンブリッジ英語史がオンラインで読めることは知りませんでした。英語には大きな歴史があり、またそれだからこそ、正しく理解してゆくことが、必ずしも容易ではありません。少しずつ知識を増やし、理解を深めてゆきたいと思います。

ベストアンサー以外の回答

1〜1件/1件中

ehd********さん

2013/4/1705:30:03

元々英語では、二人称単数は thou 、二人称複数は you だったわけですが、
you (あなた)と名指しで言うのは失礼で抵抗があるという感覚があったようで、
いつの間にか複数形の you を単数の相手にも使うようになって、thou の使用は
すたれた…と何かで読んだことがあります。
言われるほうも、「あなた」と特定されるより、「あなたがた」と言われる方が
責任が分散するので楽な気持ちで話を聞けるだろう、ということのようです。
なので、今でもその名残というか、you の be動詞は、they や we に使うのと
同じ are が使われるのだと。

ですから、単・複の区別を「放棄した」というよりは、「すたれた」というほうが
合っているかもしれません。

そんな背景があるため、たとえば、
You are a student. あなたは学生です
というとき、you are までは複数なのに、a student からは単数になるのは、
考えてみたらおかしな話ですね。

日本語でも、相手に対し「あなた」というのは「上から」な響きがあるので、目上の
人や先輩やお客様には使いませんよね。それと似たようなことかなと思います。
ま、日本語では、目上の人にあなたと言いたいときは、代名詞の代わりに、
職名(先生、部長など)や名前+さんとか、お客様などの言い方にしますけどね。

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