美容師です。
シリコンは確かに髪にも皮膚にも害はありません。
なのに、なぜ悪く言われるようになったのか、そして、実際はどうなのか、を書きます。
「洗い流さないトリートメント・オイル」って良くありますよね?
あれの原料、ほとんどがシリコンオイルです。
ご存じのとおり、あれを手に取って髪に塗った後、手を洗っても洗ってもなかなか落ちません。
つまり、皮膚に付着したシリコンオイルを洗い落とすのは結構大変なんです。
ところが、頭皮を洗う物であるシャンプーに、シリコンを入れてしまうと、頭皮からシリコンが無くなる日は来ません。
男性のハゲの原因の一つに「脂漏性脱毛」と言われる症状があります。毛穴の隙間に油脂が詰まっている状態では毛根に十分な酸素が届かず、発毛が減退する、という説によるものです。
油で毛穴が詰まっている人に、さらに落ちにくいシリコンオイルを上乗せして、それが良いわけは無いですし、油に油を乗せているのですから、脂漏性脱毛を気にする人にとって有利なわけがありません。
そこで、「シリコンは育毛上は不利なのではないか」という話になったのです。
ノンシリコンと言う言葉を流行らせたのは育毛系の製品ですので、そこはうなずける話ではあります。
さらに、もう一つ、問題があります。
安物のシャンプーに良く使用される、「ラウリル硫酸Na」などの様な、脱脂力の強い、高刺激の洗浄成分は、泡立ちがよく、安価で使いやすいのですが、そのまま配合しただけでは、髪の油分も取れ過ぎて、髪がパサパサになります。
そこで、その安物洗浄剤のシャンプーにシリコンオイルをたくさん入れれば、洗浄成分はバサバサ系なのに髪に残留するシリコンのおかげで「髪しっとり、サラサラ」に感じます。
しかし、シリコンは、髪の表面の滑りを良くしているだけで別に髪に浸透して髪を補修するわけでもなんでもありません。
つまり、安物の洗浄成分の手触りの悪さをごまかすためにも配合されたわけです。
つまり、
①脂漏性脱毛で、油っぽい男が、頭皮にシリコンオイルをたっぷり残留させる仕組みのシャンプーを使って良いのか??
②シリコンが直接的に髪や頭皮に悪いわけではないが、シリコンで手触りをごまかしているシャンプーは、品質的に大丈夫なのか??
という、問題があるのです。
「ノンシリコン」なら何でも良いというわけではないわけです。
かといって、「シャンプーにシリコンを配合する」のが良いかと言うと、
シリコンを配合する理由が、たいていは、「安い原価で、見かけの手触りの良いシャンプーを製造する」というろくでもない理由なので、決して良いわけでは無いわけです。
ところが最近は、メーカーが「ノンシリコン」と言う言葉を悪用しています。
シャンプー選ぶときは、「シリコンなんて入ってなくて当たり前」程度のもので、それよりも洗浄成分を主体に考えるべきでしょう。
ちなみにシリコンは、「ジメチコン」や「シクロメチコン」などという成分表示になります。