俊頼髄脳です!訳を教えてください!!
俊頼髄脳です!訳を教えてください!! これは、近江の国にありける郡司のむすめ、ことのほかにかたちのよくて、光の、衣を通りてめでたきよしを、帝聞しめしければ、奉りけるを、限りなくおぼしめして、世の政もせさせ給はざりければ、親思ふところありて、世におそりて、召しこめて、はるかなる所にこめ据えたりけるを聞しめして、たびたび召しに遣はしたりけれど、参らせざりければ、賢かりける人を召して、使に遣はすとて、「かならず具して参れ。もし具して参らずは罪せむ」と、仰せられければ、乾飯を少しふところに持たりける。 かの女のもとに行きて、「速やかに参り給へ、といふ宣旨の使ひなり。されど、先々のやうに参り給はじ。参り給はずとて、帰り参りたらば、必ず首を召されなむとす。いかにも死なむことは同じことなれば、ただこの庭にて死なむ」とて、物も言はで、十日ばかり庭に伏して、みそかにふところに持たりける乾飯を食ひてありけるを、「このこと不便なり。宣旨の使ひここにて死なば、かへりて罪かうぶりなむ。はやこの使ひにつきて参りね」と親の言ひければ、「我はもとより参らじとも思はず。親のとりこむればこそ参らね」と言ひて、使ひに具して参りぬ。 内にとどまりて、「まづ先立ちて、参りたる由申さむ」と言ひければ、その由申し奉りて、待ちけるほどに、蜘蛛といへる虫の、上よりさがりて、袖の上にかかりたりけるを見て、「行幸などもやあらむずらむと。あやしきことのあるなり」と、申しけるほどに、帝おはしましたりけるとぞ。
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