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以前、民放でやった時代劇の「女信長」ですが、烏帽子の掛緒の掛け方が不思議なこ...

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ID非公開さん

2017/12/2220:15:42

以前、民放でやった時代劇の「女信長」ですが、烏帽子の掛緒の掛け方が不思議なことになっていまして、てっぺんから前にかけて、なんというか昔の戦闘機のアンテナのようになっていて大変驚きま

した。
てっぺんをどうとめているかも分かりませんが、このような掛け方があるのでしょうか?

掛け方,てっぺん,掛緒,烏帽子,舟形烏帽子,折烏帽子,戦闘機

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udoncomaruさん

編集あり2017/12/2417:49:21

昔の戦闘機のアンテナとは言い得て妙ですね。
このドラマは見たことがありませんが、画像にある烏帽子によく似た烏帽子は黒澤明監督の『乱』に見ることができます。私も『乱』を観てこのような頂頭懸があるのか疑問に感じて調べてみたことがありますので、回答してみようと思います。

いずれの烏帽子も「後三年合戦型」の侍烏帽子などの名称で市販されている古いスタイルの折烏帽子で、「まねき」の頂点から「雛形(ひながた)」の辺りまでアンテナよろしく頂頭懸が張られています。頂頭懸は額の上で左右に分けられ、烏帽子の縁に固定されています。『乱』を見ると烏帽子の縁と頂頭懸の紐は糸で縫いとめてあるようです。ただし両者の頂頭懸は全く同じかというとそうではないようで、ご提示の『女信長』の画像では「アンテナ」は二本張られているように見えますが、『乱』の烏帽子の「アンテナ」は一本です。また、『乱』では「まねき」での固定部には結び目がありますが、『女信長』のそれには結び目が無く、「まねき」のてっぺんで折り返しているように見えます。いずれも「まねき」のてっぺんでの紐の固定は、糸で縫いとめてあるのか、後の舟形烏帽子のように針金で固定しているのかわかりません。あるいは「まねき」の頂点に穴を開けて内側から紐を出したとも考えられ、こうなると頂頭懸の紐というより、「小結」の可能性もあります。「小結」は髻(もとどり)に結びつけて烏帽子を固定する紐で、「まねき」の後方に穴を開けて外に引き出して結ぶものです。これを前に引き出して顎下で結んだとも解釈できます。しかし「小結」と頂頭懸は全く別物で古くは同時に用いることはなかったとされていますから、これはいささか飛躍し過ぎでしょう。

このような「アンテナ」型の頂頭懸ですが、管見の限りでは実在しなかったと考えます。いくつか手元の資料などでも調べてみましたが同様の頂頭懸は見られませんでした。そもそも戦国時代に、このように古風な烏帽子がどの程度使われていたかという点もいささか疑問です。
戦国時代頃であれば折烏帽子は「舟形烏帽子(納豆烏帽子)」に近い形になっていたと思われます。舟形烏帽子は漆で硬く塗り固められており、「まねき」も切り離して三角に作ったものを本体に取り付け、額の上には「風口」という穴を開けました。また、頂頭懸も古式のものとはだいぶ異なり頂頭懸の紐を固定するために針金を曲げて烏帽子に打ち付けるようになりました。
この「舟形烏帽子」の頂頭懸を調べてみると件の「アンテナ」に少し似た頂頭懸があることに気づきました。伊勢貞丈『貞丈雑記』などに認められる「長小結の烏帽子」の頂頭懸や「ゑぼしかけを風口へ引き入れてかぶる」被り方はまるで「アンテナ」のようです。また京都府光福寺蔵の『羽柴秀吉像』をみると、「後三年合戦型」から「舟形」への過渡期的な折烏帽子ではありますが、「風口」に頂頭懸を通しているため「アンテナ」が認められます。ただし、いずれの例でも「アンテナ」は「まねき」の頂点に固定されているわけではありませんでした。

以上のようにドラマ『女信長』あるいは映画『乱』で認められた頂頭懸は実在しないというのが私の結論です。舟形烏帽子には似た頂頭懸があるものの、「まねき」の頂点で紐が固定されている例は見つけられませんでした。

長々と述べましたが何かの参考になれば幸いです。

昔の戦闘機のアンテナとは言い得て妙ですね。...

  • udoncomaruさん

    2017/12/2418:13:26

    言葉だけでは分かりづらいので、『貞丈雑記』から、長小結の烏帽子と、ゑぼしかけを風口へ引き入れた烏帽子の図です。
    伊勢貞丈によれば、頂頭懸を風口に引き入れてかぶるのは誤りで、固定が悪く烏帽子が落ちる可能性があるということです。「今世物知らぬ人々如此してかぶるなり笑ふべきことなり」とあります。

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質問した人からのコメント

2017/12/25 00:21:03

はぁ~!
そうですか、乱でもアンテナ烏帽子だったのですね。時代劇は好きですが、乱はちゃんと見たことなかったです。
最初に見たとき、時代考証がおかしいのか、ディレクターの思いつきなのか不思議に思ったのです。わざわざ作らないと、ああはならないし。
実在はしないけど、一応由来があるとわかりよかったです。大変詳しく解説いただき、ありがとうございます。

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