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古代日本語、「は行」は「ぱ」や「ふぁ」の発音だったというのが定説ですが、 何...

shogaitajpさん

2008/8/1723:58:25

古代日本語、「は行」は「ぱ」や「ふぁ」の発音だったというのが定説ですが、
何を根拠にそんな説があるのですか?

補足みなさん、ありがとうございます。
もう一つの同様の質問と合わせ、定説の根拠が
理解できました。

ありがとうございました。

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ベストアンサーに選ばれた回答

akitsendさん

2008/8/1801:35:56

まず、日本語の子音構造自体が根拠になります。
カ行音、タ行音、パ行音は、「破裂音」と呼ばれる種類の音で、
非常に多くの言語に備わっている基本的な音です。特にパ行音は
ほとんどの言語に備わっています。しかし現代日本語では、擬態語や
外来語を除くと、促音の直後以外はほとんど現われません。これは、
ハ行がパ行音だったのに、発音の変化によりパ行音が失われたためです。

日本語では「清音」と「濁音」が対になっていて、「連濁」という現象では
これが交替しますが、カ行とガ行、サ行とザ行、タ行とダ行では
同じ種類の子音の「無声音」と「有声音」(声帯を震わせるかどうか)が
対になっているのに、ハ行とバ行は全くそのような関係に
なっていません。ハ行がかつてパ行だったと考えれば、
他の行と同様の関係が成り立ちます。

万葉仮名では、例えば「は」には「波」「半」、
「ひ」には「比」「卑」などの漢字が使われています。
これらの当時の漢字音はパ行音で始まる子音だったことが分かっており、
現在の北京音などでもパ行音やファ行音といった唇を使う音です。
当時や現代の中国語でハ行音を持つ漢字は、
中世までは日本語のハ行の表記には決して使われず、
中国語でハ行音を持った漢字は日本語ではカ行で受容されています。
例えば「上海」や「香港」の「海」(ハイ、かい)「香」(ホン、こう)などです。
これは、かつての日本語のハ行がパ行音またはファ行音だったために、
ハ行音に最も近い音を持つ行としてカ行が選ばれたからです。

中央語ではハ行がファ行音だった時代は17世紀までと言われています。
例えば16世紀には、ヨーロッパからキリスト教宣教師が来て、
日本語をラテン文字で記録しました。
この当時、日本語のハ行の表記にFが使われています。
例えば、「天草版平家物語」の表紙(検索すれば画像も出てきます)には、
「日本の言葉とイストリア(歴史)を習い知らんと欲する人の
為に世話に和げたる平家の物語」 が、
「Nifon no cotoba to Historia uo narai xiran to fossuru fito no
tameni xeua ni yavaraguetaru Feiqe no monogatari.」と書かれています。
また、当時のオランダの日本地図には、平戸がFirando、肥前がFigen、
博多がFacataなどと書かれています。具体的な発音も記述されていて、
ハ行の発音は「ラテン語のFとHの中間」などと書かれています。
これは、下唇と上の歯を近付けるラテン語のFと、両唇を近付ける
日本語のファ行音の違いを表したものでしょう。
同時期の中国語資料でも、日本語のハ行は
中国語でパ行音やファ行音を持った漢字で書き表されています。

また、1516年の『後奈良院御撰何曽』には、
「母には二度会ひたれど父には一度も会はず」という謎々があり、
答えは「唇」です。この当時、「母」の発音は「ファファ」「ファワ」であり、
ファ行音とワ行音は唇を丸めるため、このような謎々が成立したのです。

また、中国の音韻論では、発音方法により子音を五種類に分ける
「五音」がありましたが、この中でハ行はマ行、バ行とともに「唇音」とされました。
この分類は長い間使われてきましたが、1695年に作られた「新撰音韻之図」では、
ハ行の所属を「変喉」として改め、ア行とカ行の中間に置いています。
これは、江戸時代前期に、もはや中央語ではハ行の発音に唇を使わなくなり、
喉のほうで発音する現在のハ行音になっていたことをはっきりと示しています。

このように様々な証拠がありますが、
これら全てよりもはっきりとした証拠になるのは、
何といっても現在でも話されている日本語の方言です。
17世紀以前の中央語の状態、
すなわちハ行をファ行音で発音する状態を残す方言が、
東北方言や琉球方言の中に残っています。例えば秋田県の高齢者には、
「髭」を「フィゲ」、「蛇」を「フェビ」と発音する人がいますし、
「母にだば二度会うども、父にだば一度も会わねぁ、くじびら」という謎々が
残っていました。
そして驚くべきことに、琉球方言の一部には、ハ行をパ行音で発音する方言、
つまり中央語の7世紀以前の状態を残す方言が現存しています!
例えば奄美方言では、
「花」は「パナ」、「人」は「ピトゥ」、「骨」は「プニ」と発音します。
琉球方言の中にはハ行がパ行音のもの、ファ行音のもの、
ハ行音のものが揃っています。

ハ行がパ行音→ファ行音→ハ行音へと変化したのは、
「唇音退化」と呼ばれる現象で、
唇を使う発音がだんだん唇を使わない発音へと変化していくものです。
他にも、語中のハ行がワ行に同化した「ハ行転呼」、
東日本で母音のウやワ行音の唇の丸めが弱いこと、
クヮのような合拗音の衰退も唇音退化で説明できます。

なお、唇音退化は様々な言語で起こっている普遍的な現象です。
アルメニア語では日本語のハ行音の変化と非常に似た変化が起こっていて、
印欧祖語のpが語頭でhになり、語中ではwになるか脱落しています。

ベストアンサー以外の回答

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2008/8/1801:39:22

中国語のB, P, Fと日本語の「は行」は互換性があります。
また朝鮮語のB, Pとも関係します。
例を挙げると「發」は中国官話でFaと読みます。
朝鮮語ではBalと読みます。
これらの外国語との比較からも察することができます。

しかし「ぱ」は「は」の字に半濁点をつけただけなので
それだけでも十分に推測の余地はあります。

ka04zuさん

編集あり2008/8/1800:50:59

ものの本によれば、
慈覚大師円仁の「在唐記」(842)に、
[pa]という音節は、日本語の「ハ」に相当するが、
それよりももっと唇音らしく発音する、という記述が
あること、
また、在唐記とほぼ同時期に作られたと推定され
ている古今和歌集所収の歌に、
「~うぐひすの ひとくひとくと いとひしもをる」
とあり、その「ひとく」は「人来」に鶯の鳴き声である
「ピーチク」を掛けたものと解釈されること、
などから推定(再構)されているそうです。

在唐記では「ファ」行、和歌では「パ」行が使われ
ていたことになり、「P→ɸ」の変化がいつ起こったか
については、よくわかっていないようです。

fontomanieさん

編集あり2008/8/1801:49:16

なぞなぞで「母と呼べば会えるけれど、父と呼んでも会えないもの」というのがあり、
その答えは「唇」です (この時代は「ふぁふぁ」になっていました)。
「は」が「ha」であれば、上下の唇は離れたままで、合うことがありません。

また、仮名文字を見ればわかるように、「ば行」は「は行」に対応する濁音 という形になっています。
「か行」と「が行」、「た行」と「だ行」の関係からも、「は」が「pa」でなければ「ba」に対応しません。

題知らず 読人知らず (『古今集』巻十九、雑躰、誹諧歌)
梅の花 見にこそ来つれ うぐひすの ひとくひとくと いとひしもをる
「ひとくひとく」は「人来人来 (人が来る、人が来る)」の意を鳴き声の擬音「p―t―k」 (今なら「ピーチク」) に掛けたとする論考があります。(亀井孝「春鶯囀」)
http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/limedio/dlam/M41/M415224/3.pdf 27/39

天草版『平家物語』
http://taijiro.tama.net/Kuni2Sato/sanpo/sanpo.cgi?page=3
(ちょっと読みにくいので、下記の翻刻版で御覧下さい)
http://www.geocities.jp/masa_nip/Misemono/hon.html
N I F O N N O
C O T O B A T O
Historiauo narai xiran to
FOSSURU FITONO TAME-
NI XEVA NI YAVA RAGVETA-
RU FEIQE NO MONOGATARI

NIFON=にほん
FOSSURU=ほっする
FITO=ひと
FEIQE=へいけ

と、「は行」の音を「F-」で写していますね。

miuras_netさん

2008/8/1800:01:56

ポルトガル人が日本を訪れた室町時代、日本語-ポルトガル語辞典を作っていきました。日葡辞書といいます。

それには日本語の単語がローマ字で記載されていました。
これを手がかりに当時の発音が推測されたのです。

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