ID非公開
ID非公開さん
2020/8/6 14:47
3回答
高校漢文の質問です。
高校漢文の質問です。 「一笑」というものが出典で、 俗以喜人谀者、曰“喜戴高帽”。~~~「吾高帽一百、今止存九十九矣。」 という文章が問題集にありました。その中に、 「外官不易為。」と 「天下不喜戴高帽如吾師者、能有幾人歟。」という文章があるのですが、これらの現代語訳がそれぞれ、 「地方官は上司や有力者との応対が難しい。」、 「世間に先生のようにおべっかを喜ばない方が、何人おりましょうか、何人もおりますまい。」となっていました。 所謂意訳だと思うのですが、どのように解釈すればそのように考えられるのか分かりません。 特に、前者は「為」の解釈が、後者は「能」の解釈が分かりません。 どなたかご教示ください。 情報不足かもしれませんが、 このカテゴリへの投稿は初めてなので その際はご指摘よろしくお願いします。
ベストアンサー
外官が何を為すかといえば、常識的に考えて 仕事を為すということになります。 「外官は仕事をするのが難しい。慎重にやるべきだ。」 と訳せます。 では、なぜ仕事が難しいのか考えてみましょう。 まず、話の初めに他人のおべっかを喜ぶのを 高帽を被るのを喜ぶというとあります。 「私に高帽が百個あります」 というのは実際に帽子を百個持ってるということではなく、 「私はおべっかが上手です」という意味です。 「外官の仕事は難しいぞ」と言われて、 「私はおべっかが上手で、会う人ごとにおべっかを使うので、 他人と意見が齟齬することはないでしょう。」 と答えています。 「高帽を一つ渡す」というのは 「おべっかをひとつ使う」ということです。 だから、師匠は「わしは真直ぐに人に事えることを教えたんじゃ。 おべっかなんか教えとらん」みたいな感じで怒ったんですね。 おべっかで仕事が上手くいくというセリフから、 ならば仕事が難しい原因は 対人関係ということになります。 昔の地方のお役人にとって上司と地元の有力者への 対応が難しいのは今の地方役人と同じです。 「外官不易為。」の部分の訳は 「地方官僚の仕事は難しい」 でも間違いではないので、それもいいと思います。 ただ、文脈を読み取ると、模範解答のようになります。 「高帽を百個持ってる」が「おべっかが上手い」の 比喩表現だということがわかるかどうかがポイントです。 この話の笑いのポイントは 「おべっかなどけしからん」と高潔そうに怒っている師匠に、 「師匠のようにおべっかを喜ばない立派な人は、 世の中にほとんどいませんね。」 とおべっかを言ってまんまと喜ばせたところです。 「私の高帽が1個減って99個になった。」 と言っているのが、つまり、 おべっか一つ=高帽1個を師匠に渡したから 100個が99個になったんだという笑い話の 最後のオチだと読み取れれば、 「高帽を百個持ってる」が比喩表現だ ということがわかります。 こういう読解力を問われる部分は、 沢山問題を解いて漢文に慣れるだけでなく、 現代国語にも通じる基本的な 文章読解力が必要になります。 「能有幾人歟。」のほうは、 漢文特有の「能」や「有」に慣れれば それで終わりで、読解力はあまり必要ありません。 たくさん問題を解いて慣れる必要はありますが。 「天下不喜戴高帽如吾師者、能有幾人歟。」 この文は途中に挿入されている 「不喜戴高帽如吾師者」を除くと 「天下能有幾人歟。」になります。 文末の歟が、疑問・反語を表す助辞です。 ここでは反語です。 能が反語を表しているのではありません。 この文を形だけで見ると天下が主語になっていて、 有が動詞で幾人が目的語になっています。 逐語訳的に訳すと、 「天下は幾人を有することができるだろうか。 いやほとんど有することができない。」 ということになるだろうと思います。 でも、日本語表現に天下という抽象的なものが 人を所有するという表現はないので、 「天下に何人おりましょうか。何人もおりますまい。」 という訳になります。 英語文法的に言えば、 天下が形式主語ということになるでしょうか。 「能」は英語的に言えば形式主語の天下に対する canに相当する助動詞です。 日本語としては天下を主語として訳すことはできませんから、 原文の天下を主語としたときの助動詞「能」はうまく訳せません。 だから模範解答は「能」は、わざと訳してません。 他の回答者の方は、そこを可能の意味を持たせる工夫をして 「有り得るでしょうか」と「得る」を付けています。 どちらでもよいと思います。 幾人といっているのはどんな人かというと、 途中に挿入されている「不喜戴高帽如吾師者」 「おべっかを嬉しがらないお師匠様のような者」です。 「能」は、天下がそういう人を幾人か 所有することができるかどうか、 というふうに解釈できると思いますが、 日本語表現にはない、訳しにくい「能」です。 こういう漢文特有の「能」や「有」に慣れましょう。 慣れると悩まず、「能」を訳せるときは訳し、 訳せなくて無視してもよいときには 無視してよいと分かるようになります。
ID非公開
ID非公開さん
質問者
2020/8/6 20:41
丁寧なご回答ありがとうございます。 配布されたプリントの解説よりも 大変分かりやすいです。 文末の助字は疑問や反語、 断定にも使われると 句法書にありました。 基礎知識の習得度合いの低さを 痛感いたしました。 天下が主語Sになるのは 英語の無生物主語構文のようですね。 There be構文とも 捉えられると思いました。 私は英語と数学は得意で 国語は非常に苦手なので 得意科目と関連付けてもらうと とても楽しく感じます。 とは言え、古典も語学ということで 一定の慣れは必要なのですね。 これまでまともに国語に 取り組んでこなかったつけが この受験期に返ってきてます... 現代文、古典ともに頑張ります。
質問者からのお礼コメント
皆様ご回答とご返信ありがとうございました。ベストアンサーを選ぶのに大変悩んだのですが、私の要求以上の回答をくださったこちらの方にさせていただきます。 皆様のご回答はどれも私の励みとなりました。もっと早くから質問しておけば良かったと少し後悔しております。 ID非公開としている立場で言うのは変かもしれませんが、また質問した際にはよろしくお願いします。
お礼日時:2020/8/7 18:39