論理的に考えてみる。 霊はともかく、実物の人間は存在する。 実物の人間とはコミュニケーション可能である。 では、私たちは、実物の人間といつでもどこでもコミュニケーションできるであろうか。できない。新宿の岩下さんと話そうと思ってもまず話せない。文明の利器を使い、アドレスや電話番号を交換して、さらに相手が通話可能なときのみ、コミュニケーションができる。 霊界というものがあったとする。そこに私の死んだ祖母がいたとする。 霊能者が、私の祖母を呼び出す。その時間三十秒ほどだろう。 なぜか私の後ろにいるらしい。いいたいことがあるらしい。 んなわけあるか。 そんなとてつもなく都合のいい無限大の通信能力、人間がもっているものか。現世と霊界だけでとてつもない障壁があるのに、「きてください」ったら「は～い」ってすぐくるのか。設定矛盾だろう。 現実に生きている祖母だってそんな簡単に呼び出せないだろう。 だいたい死んだら、輪廻転生するなり、天国なり霊界なりにいるんだろう。 日々ずっと私の背後にはりついているのか。それ、すごい苦痛じゃないか。他に行く場所いっぱいあるはずだ。祖母ならば。なんにせよ、おかしいだろう。 仮にできたとする。 じゃあなんでその能力者は、殺された犯罪被害者の霊を呼び出して犯人を 見つけないのだ。全世界の未解決事件を解決しないのだ。 そのような能力があるというのは、 「いつでもどこでも、全世界の死者しか知り得ない情報を全部知っている」 というのに等しい。徳川埋蔵金の場所もきいてすぐゲットだ。死んだ夫の スマホの暗証番号も呼び出してきけばＯＫだ。 そういうの、全部できないわけで。 霊が見えるという。 服は着ているのか。着ているのだろう。服も霊になるのか。 おかしいだろう。生物でもないのに。 イタコに外国人が霊を呼び出してもらうと、日本語でしゃべるという。 そりゃそうだ。金もらっての仕事だから呼び出さなくてはならない。だが、 霊とて外国人の霊なんだから、絶対に日本語はしゃべらない。でも日本語で しゃべるのだ。 よくいえば、死者により人を慰める商売。 悪く言えば詐欺だと思う。