ドイツがスエズを占領していたらヨーロッパの戦いには大きな影響を及ぼしていた可能性はあります。
第二次大戦当時は北海油田はまだ無く、イギリスは石油輸入国でした。もちろん、世界に冠たる大英帝国の頃ですから、ブリティッシュペトロリアムやロイヤルダッチシェルのような戦後セブンシスターズに数えられる巨大な石油会社などが世界中から石油をイギリスに送ってはいましたが。今のイラン、イラク、クウェートにもイギリス系の油田があり、スエズを通って地中海経由イギリスへ運ばれていました。
スエズ運河がドイツに占領されたら、中東の石油ははるばるアフリカ南端の希望岬回りで南大西洋~北大西洋航路で運ばなくてはならなくなり、輸送効率が非常に悪くなります。
また、スエズから東側までドイツが占領すると南からソ連への補給ルートを断たれる事になり、Uボートによる被害が大きかった北大西洋~ムルマンスクなど北極圏の港へのルートしか無くなります。
さらに、同じ英連邦諸国であるオーストラリア、ニュージーランド、インドなどからのイギリス向けの兵士の増援、石炭ら鉄鉱石、小麦、綿花、羊毛などの輸送も滞ります。
ヨーロッパの戦いの重大な分岐点となる事をイギリスは意識しており、ロンメルのアフリカ軍団との戦いに全力を注ぎ、ドイツはイタリアから地中海を横断して北アフリカに至る補給ルートを維持出来ずに破れました。
これに対し、日本がパナマ運河を攻撃しても大勢には影響がありません。アメリカ大陸を横断する鉄道により西海岸への輸送は問題ありません。
アメリカ海軍の主力が大西洋から太平洋に回航する日数が多少増えたからと言ってアメリカ海軍の太平洋での戦いにはそれほど大きなマイナスにもなりません。
ドイツがスエズ運河を占領していたら大きな影響があったけどパナマを日本が攻撃しても(占領は日本の力では遠すぎて不可能)あまり変わらないですね。