確かに、ヨーロッパのエアバスは、複数国の政府が出資する「国策会社」です。
また、かつては航空会社も、政府が出資する国策会社が多く、自国製の機体を使わせることが可能でした。
日本でも政府主導による民間旅客機の国産化の試みは、行われましたが、YS-11の後が続きません。
その理由は、日本政府が用意できる市場が極めて小さいことにあると思います。
繰り返しますが、エアバスは国際共同開発であり、複数国の政府がかかわっているんです。
むしろ、日本はヨーロッパのように、米ソ冷戦中からアメリカからの自立をするほどの政治的決断や経済力がなかった。
航空機産業の支援は、民間旅客機だっけでなく、軍用機の部分も大きいが、その意味でも、防衛費の少ない日本では厳しかったのです。
むしろ、それでも、C-1、C-2、P-1、F-2など、これだけ少ない予算でよくやったと思えるほどです。
民間機について、もう少し言えば、
MRJは、民間企業のプロジェクトを国が支援する形でした。
ただ、ホンダ・ジェットのような成功例もあります。(開発拠点はアメリカにありますが)
忘れられていますが、三菱は依然にも、MU-300というビジネスジェットを開発し、その時は「大成功」(と同時に、大失敗)しています。
他にも、ボーイングの旅客機開発への参加(B767以降)により、B787では日本製部品の割合が3割を超え、4割近くあると言われます。
大型機はアメリカに従属する形ですが、これは仕方がないと思います。
実は、MRJもプロジェクトを行うのは、三菱でしたが、本当の国産化比率は3割程度でした。
だから、日本はダメと言うわけでなく、本当に航空機の国産化を望むなら、継続することが重要です。
MU-300は三菱の事業としては、100機程度の生産で打ち切りになりました。
しかし、それをアメリカのビーチジェット社に譲渡したのち、軍向けの派生型と合わせて1千機以上売れたんです。
軍用機向けの派生型は、なんと、自衛隊も購入しています!
つまり、MU-300は成功した機体でしたが、それを途中で諦めて、売り払ってしまい、事業としては失敗した。
これを阻止するには、やはり、政府の支援が必要だと思います。
あるいは、軍事費、防衛費を支出して、もっと航空機産業にお金を流すべきです。
民間旅客機になる機体も、実際は軍用になっていることが多いです。
ボーイング発の大型ジェット旅客機B707や、その兄弟機C-135は、アメリカ空軍の輸送機、空中給油機、早期警戒機などとして大量に採用されています。
事情は、ヨーロッパでも同じです。
エアバスや、それに参加するヨーロッパ各国の航空機産業は、軍用機も数多く作っているのです。そして、早くから輸出にも力を入れています。
航空機産業への支援は、民需、軍需の両面から行われているのです。
しかし、日本は支援額も少ないし、輸出も禁じられてきたし、今でも色々を制約が多い。
ちなみに、韓国は練習機T-50の派生型、FA-50を途上国向けに輸出しています。
相手国の軍隊や警察が人権侵害をしていないかどうかは、二の次、三の次という、死の商人ぶりです。