時代背景が既に異なっているので、今時、京都人はそんなこと言いません。
正直、そこまでテンプレな会話を連続してするとは考えにくいです。
架空の出来事で、釣りでしょ?
あるとしたら、京都人を装う半端な知識を持った偽京都人です。
まあ、実際にあったこととして、参考のために回答すると・・・
「コーヒーでよろしい?」
会話している内容は、重要な話じゃないんですよ。(条件1)
相手(お店)が仕事で忙しいさなか、雑談をしているわけ。
京都は「お客様に出す食べ物に素人の手料理は失礼」なんて文化のあった街。コーヒーやお茶菓子だって、美味しいと評判の店のものを用意します。
本当に歓迎すべきお客様ならば、そういうところに手を抜きません。いや、抜けないのです。手を抜いたら歓迎されいなかったと相手に誤解されます。
また、昔の時代背景として、コーヒーはお客様に出す時に飲む特別感のある飲み物でした。今みたいに、真空パックのドリップコーヒーがあったり、スーパーでリキッドコーヒーが買えたりはしません。
コーヒーをお出しするという行為自体に、準備も手間も掛かりました。(条件2)
さらに、京都の慣習として、「アポイントメントとって訪問する」のは失礼とされていました。相手にお客様用の用意&そのために時間を作ることを強要してしまうためです。
「近くに来たので、ちょっと寄らせて貰いました」という前置きして突然訪問します。それは、「突然訪問したのだから、おもてなし不要」を意味し、相手に負担を掛けないための配慮でした。相手が忙しそうなら当然帰ります。
今時こんなことをやったら時間の無駄ですし、職人の街 京都であった時代の話です。(条件3)
(条件1,2,3)が揃って、「コーヒーでよろしいか?」は、初めて別の意味を成します。
どうでも良い雑談をしている客に、過剰な接待を持ちかけたわけで、常識のある人間だったら辞退するのが普通です。
関東だったら、突然自宅を訪問したセールスマンに出前のお寿司を出すようなもの。
普通だったら「迷惑なはずなのに、なぜ此奴はここまでするのか?」と違和感を感じることでしょう。
なので、「今、ちょっと忙しくて、これ以上お時間は取れません」という意味に変化します。
「時間がないから帰って!」と直接言ったら、気分を悪くするだろうという配慮から出た婉曲的な言い回しなので、そこに悪意はありません。
迷惑だって状況なら、直接的な「帰って下さい」という表現を使います。
しかし、直接的に言うと、強い表現になりすぎると考えて、ワンクッション置く表現にしただけの話。
条件が揃っている状況で「コーヒーでよろしいか?」と聞かれた場合、「いや、ちょっと立ち寄っただけですので」などと言って、帰る準備をするのが普通だったわけで、お互いが気を悪くしないコミュニケーションだったのです。
条件1は、昭和の頃の話で、今時コーヒーは貴重な飲み物ではありません。
条件3も、生粋の京都人の数が少なくなり、外部から多数の人が訪れるようになっています。
職人さんの数も減り、職人ばかりの街でもなくなりました。
というか、ビジネスの範囲が京都市内で片付くくらい狭かったから成り立っただけ。
通用しないことが京都人側で分かっていますから、この慣習は既に風化しています。
なので、言われたら言って良いです。
「おじいちゃん、ボケてるでしょ? 今は令和の時代です」と。
それでこそ、京都人スピリッツだと言えましょう!
婉曲表現が他地域より発達した結果、何でも口に出すの京都人です。
それが誤解を生むってだけで。
「良い腕時計をしていますね」は「時間を確認しろ」って意味で、強めの意味を持つ表現。
唐突に話題転換して言わなければ、これも意味を成しません。
緩い雑談(歓談中)の中で振られただけなら、素の意味になります。